読書日記『アドラー心理学入門』岸見一郎 著 ①
今日の読書日記は『アドラー心理学入門』から。原因ではなく、目的に着目することについて。
原因をこのように過去や外的なことに求めてもそれらを変えることは事実上不可能なことなのです。問題行動を起こした子どもの親に、幼い頃に愛情を十分受けていなかったからであるとか、育児の仕方が間違っていたというようなことを指摘したところで、たとえその通りだと仮にしてもタイムマシンがあるわけではないので過去に戻ることはできません。
このような見方とは違って適切な対処の仕方が明確にわかるということが、行動の目的を見ていくことの大きなメリットです。目的は過去にではなく未来にあるからです。アドラーは私たちに関心があるのは過去ではなく未来である、といっています。過去は変えることはできませんが、未来なら変えることはできますし、目的は人の中にあるので、たとえ過去や外的なことの何一つ変えることができなくてもいいのです。
アドラーの考え方でとても大切だと思うものの一つに、「原因ではなく、目的に着目する」というものがあります。
現在何かのトラブルが発生していたとして、過去の小さな失敗がその原因であると特定できたとします。
その時に「ではどうするか?」とこれからの行動を考えた場合、過去に戻ってやり直すことはできません。
企業の場合に求められるのは、再発防止策を策定してそれを徹底することでしょう。
個人の場合にもやはり同じ過ちを繰り返さないために再発防止策を考えておいた方が良いように思います。頭の中で考えるだけではなく、日記にその時の気持ちを書いておくなど文章化しておいた方が良いでしょう。
ただ、どうしても「喉元過ぎれば暑さを忘れて」しまいがちですから、文章化したものを定期的に見返すリフレッシュの行動も必要になってきます。この辺りは再発防止策に限らず、勉強したことや思いついたアイデアをまとめたメモなどに対しても適用したいところです。
アドラーの考え方では、やり直せない「過去」や「他人」などの変えられない「外的なもの」に着目するのではなく、「今この時から」の変えることのできる「自分」に着目して行動することを推奨しています。
私は小学生の間、親の勧めでピアノを習っていました。しかしピアノが好きではありませんでした。その理由は、ピアノの練習中に弾き間違える度、親にひどく怒られたからです。
ピアノのレッスンは、先生の前で教則本から毎週の課題曲を弾くのですが、上手く弾けない場合は不合格となり、その曲をもう一週間練習してくる必要がありました。不合格だった日は、そのことを親に言うとまた怒られるので、ひどく憂鬱になりました。
怒られる→嫌いになる→練習しない→不合格になる→また怒られる、というループを繰り返し、結局初級者向けの教則本を数冊終わらせた程度でピアノのレッスンをやめてしまいました。
それから思春期を迎えて流行りの音楽に興味を持つようになったり、クラシック以外の生の演奏を見る機会があって、ピアノに限らず「楽器を演奏できるってカッコイイなぁ」と思うようになりました。それとともに「どうして自分はもっとちゃんとピアノやっておかなかったのか、もったいなかった」とも思うようになりました。
そして、当時ピアノに興味を持てなかった自分のことは棚に上げて、成人してから、親に対して「あんなに怒らずに、もっと褒めるようにしてくれていたら、ピアノを続けていられたはず」と非難してしまったこともあります。
これは、自分がピアノをやめてしまった原因を「外的なもの」である親のせいにしてしまっていた例ですね。「ピアノをやめた」という行動の責任を親に転嫁していたのです。
アドラーの考え方では、ある行為を選択した時点で、その選択の責任はその人自身にある、ということになります。
とかくうっかりすると、自分の行動の責任を人のせいにしてしまいがちです。気をつけておかないといけませんね。
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