読書日記『アドラー心理学入門』岸見一郎 著③
今日も『アドラー心理学入門』から。自分の行動に責任を持つこと。
例えば人が遺伝を持ち出して自分の能力には限界があるというようなことをいうとした場合、既にそのように遺伝を持ち出すというそのことが、人生の課題から逃れようとしている兆候であると見ることができます。自分の今のあり方について、遺伝、あるいは、これまでの親の育て方などを持ち出すことを、アドラーは因果関係があると見せかけることと呼んでいます。すなわち、実際には何も因果関係のないところに、因果関係を見出すということですが、そうすることの目的は、自分の行動の責任を他のものに転嫁することです。遺伝や親の育て方、環境等々を自分が今こんな風になっているということの原因に見せかけるわけです。
ある行為を選択する時点でその選択の責任はその人にあります。
今の自分の状況を他責とするかしないか、その違いはとても大きいものです。確かに今の自分に悪影響を与えたと考えられる出来事も少なからずあります。
「自分は○○ということがあったから、△△できないんだ」。そうやって今が上手くいかない理由を説明するのに都合が良いから、過去の経験を利用する。私にはとても良くあることです。今でもあります。
でも、その居心地の良さに安住してしまうと、いつまでたっても「何も変わらない」んですよね。いや、現状より状況が悪くなることはあっても良くなることはおそらくない。
そう、確かに周囲の凄い人達を見ていると、自分はなんてダメな奴なんだろうと劣等コンプレックスの塊になって落ち込んでしまいます。
そこで、「自分にはあの人と違って○○がないから無理だ」と諦めてしまうか。それとも、そこで「ないものねだりをしても仕方がない。比べても仕方がない」と踏み止まって、自分でも出来る行動をとることができるか。
その礎となる考え方の転換をアドラーは与えてくれているように思います。
私達はこれから何かをしようとする時、その行動の結末を自分で引き受けないといけません。上手くいかなかった時、後で他者や環境のせいにすることは、一時的には気が楽になるかもしれませんが。そのままでは前に進むことはできません。
上手くいかなくても、行動の結果出会う新しい現実を真摯に受け止めましょう。そこで怯えて立ち止まってしまわずに、上手くいくまで行動を続けていけるよう、勇気を持って進んでいきたいと思います。
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