読書尚友

先人の叡智を自分の行動に落とし込んで、成長と成果に変えていくブログ。焼きたてのトーストにバターを塗るように、日々の学びを薄く薄く伸ばして染み込ませてゆく

子どもの感受性を育むためには? 読書日記『センス・オブ・ワンダー』レイチェル・カーソン 著①

 

センス・オブ・ワンダー

センス・オブ・ワンダー

 

 

今日の読書日記は『センス・オブ・ワンダー』から、子どもの感受性を育むことについて。

 

 

子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直観力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。

 

もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」を授けてほしいとたのむでしょう。

 

この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、私たちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです。

 

子どもたちがであう事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生みだす種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受性は、この種子をはぐくむ肥沃な土壌です。幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです。

 

消化する能力がまだそなわっていない子どもに、事実をうのみにさせるよりも、むしろ子どもが知りたがるような道を切りひらいてやることのほうがどんなにたいせつであるかわかりません。

 

子どもといっしょに自然を探検するということは、まわりにあるすべてのものに対するあなた自身の感受性にみがきをかけるということです。それは、しばらくつかっていなかった感覚の回路をひらくこと、つまり、あなたの目、耳、鼻、指先のつかいかたをもう一度学び直すことなのです。

 

人間を超えた存在を認識し、おそれ、驚嘆する感性をはぐくみ強めていくことには、どのような意義があるのでしょうか。

 

地球の美しさと神秘を感じとれる人は、科学者であろうとなかろうと、人生に飽きて疲れたり、孤独にさいなまれることはけっしてないでしょう。

 

地球の美しさについて深く思いをめぐらせる人は、生命の終わりの瞬間まで、生き生きとした精神力をたもちつづけることができるでしょう。

 

 

この本を読んでいると、私が子どもの頃の自然に触れた体験を思い出します。

 

私の両親の実家はどちらも車がないと移動が不便な地方にありました。毎年お盆にはお墓参りのため両親の実家に帰省していました。田舎の家に帰省すると、その周辺は子どもの私にとってはまだ土地勘のない場所でしたので、家の周りをよく探検に出かけたりしていました。

 

もちろん家族でいろいろな場所にも行きました。海が近かったので海水浴には毎回行きました。従姉妹と昆虫採集にいった時には、カブトムシやクワガタを捕まえるために、昼間にクヌギの木に密を塗っておいて、夜にそのクヌギの木を見にいったことは今でもよく覚えています。家族で縁側に並んでスイカを食べて、誰が一番スイカの種を庭の遠いところまで飛ばせるか、というスイカの種飛ばし競争も行いました。また、星空は本当に綺麗でした。何より田舎は明かり自体が少ないので、町とは見える星の数が本当に桁違いなのです。夜寝る前に家の前で夜空を見上げながら、父からどの星が何座の一等星で、どの星とどの星をつなげば何座になるのかを教わりました。

 

子どもの頃、春休みや夏休みに田舎の家に帰ってきたとき、家の扉を開けて最初に吸い込んだ匂いは、私の中に強く刻み込まれています。私の中では「父の実家の匂い」と「母の実家の匂い」というのは他のどんな匂いとも区別できる独立した香りとして認識されています。ですから、今でもごくまれにそれと近い匂いを嗅ぐと、とてもなつかしく感じる気持ちにおそわれてしまうのです。

 

田舎の家に帰省する時には、飛行機よりも電車や車を使うことが多く、その道中の旅もまた楽しいものでした。電車の席で家族で向かい合って窓の外を流れ行く景色を眺めながらトランプをしたこと、駅弁やお菓子を食べたこと。フェリーに乗って甲板に出て、潮風を感じながら通り過ぎる島々を眺めたこと。長い旅の末、ようやく祖父母の家に近づいた時、兄と走って競争して玄関に突進して、扉を勢いよく開けて「ただいまー!」と祖父母に元気よく叫んだこと。祖父母が私たちを迎えてくれる笑顔。全て、私にとってはかけがえのない思い出です。

 

 

いろいろ思い出してみて、気がついたことがあります。私は、ちゃんと両親から大切な贈り物を、「センス・オブ・ワンダー」をたくさんもらっていたのだということです。もちろん、祖父母からも、親戚からも。この本を読んでいなかったら、そういったことに気づくこともなかったかもしれません。

 

そして、気づくことができたことは幸せだと思います。両親や祖父母や親族に、自分が子どものころに、一生忘れないであろう、あるいは忘れてしまって今ではもう思い出せないけれども、たくさん何かの経験をさせてくれたであろうことに対する「感謝」の気持ちが、胸の底から湧き上がって私の心を満たして、さらにはあふれさせてくれるからです。

 

私はちゃんと「受け取って」いました。次は、私が自分の子どもに受けとったものを「伝えていく」番です。子どもと一緒にいろいろなところに探検に出かけようと思います。

 

将来、子どもに、その探検の記憶を思い出してもらえることがあるのかないのかはわかりません。でも、子どもの感受性を育むために一緒に探検に出かけることは、私がこれまでの人生で両親から受け取った「贈り物」に対する感謝の気持ちを、お返ししていくことでもあるのだと思っています。

 

 

〈今日のチャレンジシート〉
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1.この本を読んだ目的、ねらい

 

・子どもの感受性や好奇心を育む方法について学ぶ


2. 読んでよかったこと、感じたこと

 

・自分自身が、両親から「センス・オブ・ワンダー」を

   そうだと気づかぬうちに受け取っていたのだ、

 ということに気がつけたこと

 

・上記に対する感謝の気持ちで満たされたこと

 


3. この本を読んで、自分は今から何をするか

 

・子供と一緒に自然の中を探検する


4. 3か月後には何をするか、どうなっていたいか

 

・子どもの感受性を育むとともに、自分自身の

    感受性も磨かれているのを感じ取ることができる

 

・毎回の探検が楽しみで仕方なくなってくる

 

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