読書尚友

先人の叡智を自分の行動に落とし込んで、成長と成果に変えていくブログ。焼きたてのトーストにバターを塗るように、日々の学びを薄く薄く伸ばして染み込ませてゆく

語彙力を高めるとどうなるのか? 読書日記『語彙力こそが教養である』齋藤孝 著①

 

語彙力こそが教養である (角川新書)
 

 


今日の読書日記は『語彙力こそが教養である』から、語彙力を高める意義について。

 

 

私が本書をとおして伝えたいのは 、 「語彙が豊富だと周りから一目置かれる 」ということばかりではありません 。

 

いちばん伝えたいのは 、 「語彙が豊かになれば 、見える世界が変わる 」ということ 。人生そのものが楽しくなるということです 。

 

思考は 、頭のなかで言葉を駆使して行われます 。つまり 、何かについてじっくり考えて意見を持つためには 、先にたくさんの言葉をインプットすることが必要不可欠です 。

 

乏しい語彙力では 、それをとおした狭い世界しか見ることができません 。

 

 

誤解しないでください 。ここでの語彙とは 、ただ 「たくさんの言葉を知っている 」暗記的な知識を指しているのではありません 。

 

語彙とは 、勝手に増えるものではありません 。語彙が増える過程で 、たくさんのインプットがあったはずです 。本や映画 、テレビなどメディアからのインプット 、さらには人生経験からのインプットがあったから 、豊かな語彙がつくられた 。

 

そして 、それだけたくさんインプットしているということは 、古典文学から最新のハリウッド映画まで 、先人の紡ぎ出した言葉や言い回し 、リズム 、そこに込められた教訓を身につけているということです 。

 

これは 、ただの 「知識 」でしょうか ?いや 、 「教養 」以外のなにものでもありません 。

 

あなたが今までどんなインプットをしてきて 、どのような教養を持っているか 。これは 、アウトプットをとおして他人に判断されることとなります 。

 

1分とは言わずとも 、少し話をしただけで相手から知的レベルを判断される 。教養の深さを見積もられる 。

 

なんと恐ろしい話だ 、と思われるでしょう 。でも 、逆に考えれば 、どんなスキルよりも無条件にあなたの評価を高めてくれるもの 。それが語彙だとも言えるのです 。

 

これまでのインプット量を悔やんでも仕方ありません 。本書を読み終えた瞬間から 、失われたインプットを取り返しにいけばいいのです 。

 

豊かな語彙をとおして世界を見たときに 「言葉を知るだけで 、世界はこんなにカラフルになるのか 」と驚くことでしょう 。

 

そのとき 、あなたを見る周りの目も間違いなく変わります 。語彙力アップは 、一朝一夕でかなうものではありません 。けれどその分 、これからの人生は間違いなく豊かなものになるのです 。

 

 

これを読んでいて思い出したのは、オーストリアの哲学者ウィトゲンシュタインの以下のような言葉です。

 

「私の言語の限界が私の世界の限界を意味する」

 

この言葉は、「自分の言葉で表現出来る範囲が、自分が認識できる世界の範囲を規定する」、といった意味だと私は解釈しています。

 

どれだけの言葉でその現象を説明できるか、それが「その人に見えている世界の全て」になります。

 

例えば、「面白い」という言葉一つをとっただけでも、「愉快」、「痛快」、「滑稽」、「ユーモラス」、「コミカル」、「ウケる」「可笑しい」、「臍(へそ)で茶を沸かす」、「抱腹絶倒」など、面白さを表す表現が色々ありますよね。

 

「面白さ」の「程度」や「シチュエーション」に合わせて、これらの言葉を使い分けることができたなら、どんな時にも「面白い」としか言えないよりもずっと世界が「面白く」なってくると思います。

 

また、「分かることは分けること」という言葉もよく耳にします。一見すると同一なもののように思われるものが複数あった時、そこに微妙な差異を感じ取り、その僅かな差異を「別の言葉」で表現して、「境界線」を引き、「区別する」ことがこれに当たります。これは、言葉の差異を正しく理解していないとできないことだからです。

 

語彙力が増えるほど、世界は細分化されていきます。

 

著者はこの本の中で、語彙力を身につけることを絵の具に例えて、「今まで8色でしか表現できなかった世界が200色で表現できるようになること」だと述べられています。とても分かりやすい例えだと思います。

 

モノクロテレビがカラーテレビ→ハイビジョン→4Kとなってきたように、モノクロだった携帯電話の液晶画面が256色→フルカラーと進化したように、私たち自身も語彙力を高めることで、もっと奥行きのある世界を感じ取ることができるようになるのです。

 

ただし、著者は「教養」とは単純にたくさんの言葉の意味を知っていることではない、と注意を促されています。

 

切り取られた「単語」の意味だけではなく、その単語が含まれる「文脈」と一緒に覚えることを主張されています。

 

加えて、音楽や映像なども通じて、その単語が使われている「様々な状況」をひも付けていくことで、ひとつの言葉に対して重層的にインプットされた状態、これを「教養」と定義されています。

 

 

そして、教養・語彙を増やすために勧められているのが「音読する」ことです。

 

漢熟語が多く含まれる昔の文章でも、意味を取りながら読もうとする前に、声に出して読んでみる「素読」が、語彙習得の1番の近道だと述べられています。

 

私も高校生の頃に『平家物語』の冒頭の「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。」から始まる文章は暗記させられました。今でも半分くらいは覚えていますね。

 

それと、もう一点気をつけておきたいことは、今日から音読や素読を始めたとしても、一朝一夕には効果は表れない、ということです。

 

後から徐々に語彙力の高まりを感じ取れるようになるものだということです。

 

ですから、音読しながら気長に仕込んでおいて、「果報は寝て待て」で、いつか自分の中から「語彙があふれ出してくる」のを待っていたいと思います。

 

その時には今の何倍、世界の広がりを感じ取ることができるでしょうか。

 

 

〈今日のチャレンジシート〉
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1.この本を読んだ目的、ねらい

 

・語彙力、教養を高める方法を学ぶ


2. 読んでよかったこと、感じたこと

 

・語彙力を高める具体的な方法と参考文献を

    知ることができた


3. この本を読んで、自分は今から何をするか

 

夏目漱石の作品やニーチェの作品を

    少しずつ音読してみる

 

福沢諭吉の自伝を読んでみる


4. 3か月後には何をするか、どうなっていたいか

 

・音読・素読が習慣化されている

 

・今よりも少し深く、世界の奥行きを

    感じ取ることができ、それを言葉で

    表すことができるようになっている

 

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