失敗や後悔にとらわれないようになるためには? 読書日記『あたりまえだけどなかなかできない 33歳からのルール』小倉広 著①
あたりまえだけどなかなかできない 33歳からのルール (アスカビジネス)
- 作者: 小倉広
- 出版社/メーカー: 明日香出版社
- 発売日: 2009/06/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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今日の読書日記は、『あたりまえだけどなかなかできない 33歳からのルール』から、過去を100%肯定することについて。
「久しぶりに運動をした時に、ついうっかりと、小指をぶつけて骨にひびが入っちゃいました。しばらくギブスです……」。
暗い顔をした僕に社長がこう返した。
「小倉さん、小指で良かったですね!これを機会にしばらくパソコンをやめて、じっくり考えごとに集中したらいいじゃないですか!」。
社長は満面に明るさをたたえていた。何だか僕は得をしたような気になってきた。
33歳、僕が初めて新卒で入社したリクルートを離れ、ソフトウェアベンチャーへ取締役として転職したばかりの時のことだ。僕が何を話しても100%必ず「良かったじゃないですか!」と返してくる社長にどれだけ助けられたことかわからない。
しかし待てよ。それにしてもあまりに楽観的じゃないか。
「だって過去は変えられないじゃないですか。だったらそれはすべて良かったことにしたほうがいいんです。過去を活かすかどうかは自分で決められる。だから、過去に起きたことはすべていいことなんです。神様が何かを教えてくれているんです」
「過去を変えることはできない」。だから過去を後悔する時間はムダ以外のなにものでもない。
それを知った僕は衝撃を受けた。なぜならば、それまでの僕は過去を悔やむことに膨大な時間を割いていたからだ。
ある種マゾヒスティックなまでに過去の失敗を思い出す。そして自分を責める。そんなムダな時間をたくさん使ってきた。それだけじゃない。そこで落ち込み、酒を呑んだり、ふて寝したりした。過去を悔やむことで、とんでもない量の時間をムダにしてきたことに気づいたのだ。
その時から僕は変わった。過去の失敗を悔いる気持ちが起きた瞬間、自分にSTOP!をかけることができるようになったのだ。33歳からの君に、過去を悔やんでいる暇はない。
思い出すだけで、「うわーっ!」と叫びだしたくなるような恥ずかしい過去、永久凍土に封印したい「黒歴史」や光とともに消し去りたい「暗黒時代」。誰でも今までの人生を振り返れば、そのようなものが1つや2つくらいはあるのではないでしょうか。
完全に忘れさることができれば良いのですが、それらの過去は、何かのきっかけで突然思い出されて、私たちの気を滅入らせます。
過去に戻って「あの失敗をやり直したい」と何度も夢想した方はきっと私だけではないと思います。
物語の中、漫画の『ドラえもん』にも映画の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にもタイムマシンが登場します。過去を変えて、過去から見た未来、つまり今の自分の状況を変えたい。そんな希望を抱くのです。
残念ながら西暦2016年の現時点では、タイムマシンはまだ開発されていません。では、私たちに「過去改編」ができないのかというと、そういうこともありません。
確かに、過去に起こったことや過去に自分のとった行動は変えられません。でも、その出来事の自分の中での「意味付け」を変えることはできるのです。
よく言われるのは、出来事は出来事、ただの事実として存在しており、それに何らかの意味を「付与」しているのは、私たち自身だということです。
事実に対して、それをどう受け取るか、喜怒哀楽のうちのどのカードをその場に出すのか、それを決める選択権は私たち自身が握っているということです。
それは決して現在進行形のことだけに当てはまる話ではありません。過去の出来事に対して、「改めて、今」、自分の受け取り方をどうするか、過去に選んだものと「異なる種類」のカードを選び直すこともできるのです。
そして、もし、自分の過去の失敗に対する反応を改めて選び直すとしたら、どんなカードが良いでしょうか?「怒り」のカード?「悲しみ」のカード?
そこは、「喜び」や「楽しみ」のカードを選びたいですよね。ためらわず、ひと思いに選んでしまいましょう。なぜ喜びや楽しみがあったのかは、カードを選んでからでも考えることができます。一度選んでしまえば考えざるをえません。
例えばこのような感じでしょうか。
「確かに自分はあの時大失敗した。でもそのおかげで、二度と同じ失敗をすることはなくなった。だから結果として、あの失敗をあのタイミングで経験できて、色々学ぶことができて良かった」
今までは、自分の失敗、後悔したことに対して、ネガティブな方向からの光を投げかけていたのだと思います。
「過去の全肯定」は、それとは別の方向から自分のこれまでの経験に光を当て、結果として、「ここまで強くなった自分」に気づかせてくれるはずです。「この経験でまた1つレベルが上がったのだ」と考えるのです。
過去に対する意味づけを変え、「良かったことだけに注目」していると、段々と自分の記憶も良い方向に改編されてくると思います。「これまでの自分、意外と捨てたもんじゃない」。
そうやって厳しい過去、情けない過去を七転八倒しながらも乗り越えてきた自分から、勇気と元気をもらえるようになったら、今度は、未来の自分がタイムマシンを欲しがらないように、「今、ここ」を全力疾走していきましょう。
〈今日のチャレンジシート〉
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1.この本を読んだ目的、ねらい
・あたりまえだけどできていない
基本的な行動を再度確認して自分を修正する
2. 読んでよかったこと、感じたこと
・過去の100%肯定は、今の時間を
ムダにしないために有効な考え方だと思った
3. この本を読んで、自分は今から何をするか
・過去の意味づけを変えて、そこから
教訓を引き出し、今に活かしていく
4. 3か月後には何をするか、どうなっていたいか
・タイムマシンを夢見なくても、自分がこれまで
生きてきたこと、経験してきたことを全て、
受け入れることができるようになっている
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