読書尚友

先人の叡智を自分の行動に落とし込んで、成長と成果に変えていくブログ。焼きたてのトーストにバターを塗るように、日々の学びを薄く薄く伸ばして染み込ませてゆく

人工知能は日本社会の抱える問題を解決できるか? 読書日記『人工知能は私たちの生活をどう変えるのか』水野操 著①

 

 

今日の読書日記は『人工知能は私たちの生活をどう変えるのか』から、不足する労働力を補うための人工知能の活用について。 

 

 

移民の多くが介護のような人手の足りない仕事についてくれると考えるのは早計だ。ネイティブにあまりに都合のいい考えである。

 

移民受け入れによって生じる社会的コストは、雇用の準備や調整のための費用のほか、場合によっては失業にともなうコストや、摩擦が生じたときに紛争を解決するためのコストなどもある。

 

市場や企業のニーズによる自然な移民増ではなく、政策として移民を受け入れる場合は、経済の面で計算どおりにいくとは考えないほうがいいだろう。

 

「経済は生き物」であり、好況と不況を繰り返すのが常だ。不況のときに失業者が増えるのは当然であり、そうなったからといって「移民は出て行け」というわけにはいかない。移民を受け入れた途端に不況に転じて、国が多くの移民の社会保障費を負担しなければならないということも十分ありうるのだ。

 

それが社会不安につながることは、現在のヨーロッパの状況を踏まえれば容易に想像がつく。労働力不足の解決策として、あるいは社会活性化を目的として移民受け入れを議論するのなら、期待されるメリットと同時に、そのコストと代償についても注意深く検討しておかなければ無責任というものだ。

 

移民に頼るという選択肢を排除する必要はないが、さまざまなことを勘案すれば、移民によって労働力をかさ上げするというのは、日本では非現実的なことではないだろうか。

 

移民を受け入れる社会は現在の日本社会の延長線上にはなく、考え方や仕組みの大きな変化が求められる。そのコンセンサスをとるにはかなりの時間がかかり、労働力不足を解決するのには間に合わないと考えるのが自然だ。

 

とはいっても、問題を放置しておけば当然ながら労働力不足は悪化するだけだ。そこで考えられるのがAIやロボットの活用である。

 

AIにせよロボットにせよ、導入にはそれなりのコストが生じるが、人間を雇い入れるのと機械や設備を新しく取り入れるのとでは、コストも心理的なハードルの高さも異なる。

 

実際、介護業界においてはロボットの導入が着々と進んでいる。自動排泄処理装置や、電動で歩行をアシストするカート、移乗介助機器(介助者が人を抱え上げる動作を補助する機械)、入浴支援機、リハビリをアシストするマッスルツールなど、さまざまなものがすでに介護の現場で使われているのだ。

 

 

〈今日のコンテンツ〉

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1. 高齢化社会・医療・介護・移民

2. 労働力を代替する

3. まとめ

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1. 高齢化社会・医療・介護・移民

 

 

この本では現在AIを用いた技術がどこまで発展しているかが紹介されています。また、AIがこれからさらに発展した場合、未来の我々の生活がどのようになっているかもストーリーで紹介されています。

 

そして、未来予測にあたる部分ではAIやロボットの技術によって、高齢者の暮らしのサポート、医療診断業務や手術、介護なども行えるようになるだろうと推測されています。

 

加えて、介護などの労働力が不足している大変な業務もロボットに手伝ってもらうことで、日本が移民に頼らずにやっていける可能性も示唆されています。

 

 私は人工知能に自分が行なっている現在の仕事を取って代わられてしまうことを心のどこかで怯えている部分もあります。ですが、慢性的に労働力が不足しているような職業こそ、このようなAIとロボットの力を有効に活用していくべきであるとこの本を読んで思い直しました。

 

日本は世界に先駆けて高齢化が進む国だとも言われています。高齢化社会は医療や介護の問題や労働人口の不足の問題と切っても切り離せない関係にありますから、AIやロボットの技術開発が、そういった不足する労働力を埋め合わせる「救世主」になることも十分に起こり得るでしょう。むしろ、そうなって欲しいと思いました。

 

また、そのことが結果として移民に頼らずとも暮らしていけることに繋がれば、日本としては、それが一番穏やかな生活の維持につながるのではないかとも思います。ヨーロッパの状況などを見ている限りでは、移民政策が日本で上手くいくとはあまり思えないためです。

 

その他にも少子化問題というのも残っており、こちらも向こう数十年はかけて取り組まなくてはいけないことではあると思いますが、少なくとも労働力の問題は、上手くいけばAI・ロボット開発の進展により解決できるかもしれない、ということには大きな期待と希望を抱くことができます。

 

2. 労働力を代替する

 

SF小説を読んだり、SF映画などを見ると、AIによる負の局面(仕事がなくなる、とか人間が支配される)を考えてしまうこともあります。しかし災害現場などの危険な環境や化学物質などを取り扱う場所、ハードな肉体労働を強いられるなど、いわゆる3K(きつい、汚い、危険)と呼ばれた仕事などでは、AI・ロボットをどんどん活用していくべきでしょう。 AI・ロボットの開発が目指しているのは、本来そういった正の局面の方です。

 

AI・ロボットの発展とそのサポートにより、高齢者になっても、安心・安全に、そして前向きに楽しく暮らしていくことのできる社会が実現できたら、それは素晴らしいことですよね。

 

そして歳をとってからもそのように暮らしていけることが分かれば、子どもや孫といった若い世代も将来に対してもっと希望を持つことができるようになるとも思うのです。

 

現在の将来に対する悲観論を楽観論に塗り替えてしまうぐらいの可能性を秘めているのがAI・ロボット(とセンサ)の技術だという認識を新たにしました。賭ける価値は十分にあります。未来の希望に向かって、私たちも何かができるはずです。

 

 

3. まとめ

 

 ・人工知能とロボットの発展は、高齢化社会

  医療・介護、移民といった労働力の不足にまつわる

 日本社会の問題を解決できる可能性がある

 

 ・人工知能とロボットの発展が描く明るい未来に向かって

  私たちにも今からできることがあるはず

 


〈今日のチャレンジシート〉
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1.この本を読んだ目的、ねらい

 

人工知能に関する知識、情報収集を行う


2. 読んでよかったこと、感じたこと

 

・AI・ロボットが、高齢化、医療、介護、移民といった

 問題解決の切り札と成り得ることに気付くことができた


3. この本を読んで、自分は今から何をするか

 

・高齢化・医療・介護などの労働力を解決するための

 AI・ロボットの技術開発をなんらかの形でサポート

 できるようになるための勉強を行う


4. 3か月後には何をするか、どうなっていたいか

 

人工知能に対する理解・知識をさらに深めている

 

・自分の仕事を通して、子どもや孫の世代が

 将来に希望を持てるような社会を作るための貢献を始めている


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