人の話を聞く時に意識しておくべきことは? 読書日記『何を話せばいいのかわからない人のための雑談のルール』松橋良紀 著①
何を話せばいいのかわからない人のための雑談のルール (中経の文庫)
- 作者: 松橋良紀
- 出版社/メーカー: 中経出版
- 発売日: 2013/10/29
- メディア: 文庫
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今日の読書日記は『何を話せばいいのかわからない人のための雑談のルール』から、話を聞く時の3つのポジションについて。
話を聞くとき、人は3つのポジションのうち、いずれかの態度で聞いています。
ひとつは、第1ポジション。
人の話を聞いていながら、自分に意識が向いている状態です。
自分のことに意識が向いているなら、口には出さなくても第1ポジションの状態です。
2つ目は、第2ポジション。
相手に意識が向いている状態です。このポジションが最も重要です。
人と信頼関係を築くためには、第2ポジションで話を聞くことが大切です。自分に意識が向いている第1ポジションで話を聞いていると、自分の興味で質問を始めたり、相手が話している途中でも、言いたいことを挟んでしまったり、揚げ句の果てに説教をしたりしてしまいます。
たとえ何も口に出さなかったとしても、「この人は自分の話をちゃんと受け止めてくれていないな」というのは非言語で伝わります。
そして、最後は第3ポジション。
第3ポジションは、「全体レベル」で話を聞いていること。全体レベルとは、話し手や聞いている自分だけではなく、話し手に関係する人たちにも意識が向いている状態です。
当事者以外の人のことにも意識が向けられているのが第3ポジションです。指導者は、第3ポジションのレベルで話を聞くことも必要になってきます。
話し手が、自分以外のことに焦点を当てて物事を考えられるきっかけを与えることができるのが第3ポジションです。
問題解決につながり、関わる人にベストな案も生まれてくるでしょう。
〈今日のコンテンツ〉
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1. 話を聞く時に気をつけていること
2. ポジションを渡り歩こう
3. まとめ
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1. 話を聞く時に気をつけていること
時々セミナーなどに参加すると、初対面の方とお話させて頂く機会があります。そういった席では、仕事上のつながりのある方と話すわけではないせいもあってか、私の場合、かなり気楽に話すことができます。
でも、初対面の方と「ある程度の時間」「話なければならない」、ということになった時、話題に困ってしまう方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。
こういった場合に、私が気をつけるようにしていることがあります。おそらく何かの本に書いてあったか誰かに教わったことだと思うのですが、できうる限り、「相手のことだけ話題にする」ということです。正直なところ、自分が口にするのは、相槌と質問だけで良いのではないかとも思っています。それで会話はもちます。
相手から質問されたらもちろん答えるのですが、すぐに相手への質問に切り替えます。自分で会話のボールを持ち過ぎないようにするのです。
自分と相手が話した量を比較するなら、自分1に対して相手9の割合が良いです。どんなに多くても自分3:相手7くらいの量までで自分を抑えておきます。
意識してこういうことをするとどうなるのか。私の個人的な体験でしか語れないのですが、1対1で1~2時間くらいかけて話した場合、10人中8人くらいの方は私と話終わった後に「今日は自分のことばかり話してしまいましたね」という言葉を下さるようになりました。
この言葉は私にとっては「大成功」です。それを狙ってやっているからです。そして沢山話して下さった方が満足して下されば、それは私にとっても好印象を持って頂ける(かもしれない)ので、ありがたいことだと思っています。
人は「聞くことより話すことの方が好き」だといわれています。良好な人間関係を築いていくならば、ある程度自分を抑えてでも、意識して相手の話に耳を傾ける姿勢が必要なのだと思います。
私ももちろん話すのは好きなのですが、どちらかというとあまり得意ではありません。また、人の話を聞くことも好きである、というところもあって、多分、聞いている方がラクに感じるなのです。そのため、初対面の人と話す時の基本戦略としては、先に述べたように「聞くこと」の方にウェイトを置いて取り組んでいます。
2. ポジションを渡り歩こう
聞いている方が「ラク」と書きましたが、実は「ラク」に相手の話を聞いている状態は、今回引用したところの「第1ポジション」に相当していると思います。まさしく、「ただ聞いている」という感じです。BGMとして相手の話を聞きながら、自分の考えに浸っている状態です。
そして、先に書いた「相手のことだけ話題にする」聞き方は決して「ラクではない」聞き方です。
その理由は、相手の話した内容に対して「質問」を挟みこんで、会話の主導権を常に相手に持たせるためには、相手の話す内容を「真剣に」聞く必要があるからです。
話す場所にもよりますが、私は相手の話を聞きながら、話してくれている内容のメモを取ることも多いです。そのように頂いた情報を整理することで、「質問」するための自分の「疑問点」や「違和感」も見つけやすくなります。
キーワードを拾って置くだけでも、途中で会話が途切れた時にまた「質問」の口火を切るきっかけにできます。メモの内容から、一度しぼんだ会話の風船をもう一度膨らませ直すことができるのです。
この「ラクではない」聞き方がどのポジションに相当するかを考えると、こちらは「第2ポジション」に相当するのではないかと思います。
相手に意識を向けて真剣に聞いて、その結果として、自分本位でない相手寄りの「質問」ができるようになるからです。
今回初めて「ポジション」という考え方を知りましたが、最後の「第3ポジション」は、この「ラクではない聞き方」よりも、もう一つ上の次元にあるように思います。
「相手のことだけ話題にする」という現在の私の戦略では、このポジションには到達できません。この場合、相手を取り巻く「利害関係者」までに及ぼす影響を気づかせるというより高度な質問も必要になります。
聞き手としては相手の内側の話を聞きながら、同時に相手の外側のつながりにも思いをはせる、そのような心構えが求められます。
その両者を把握しているからこそ、適切な質問ができるようになるのでしょう。コンサルタントやコーチといった職業の方々はこのポジションの聞き方を得意としていらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、常に「第3ポジション」にいて、全体的に話を俯瞰していれば良いかというとそうも思いません。
理由は利害関係者のことを考えている間は、相手の話に注意の焦点をあわせ続けることが難しいからです。その時間があまりに長くなると、相手に「この人は自分の話を聞いていない」と思われるでしょう。
これは「第1ポジション」にいて自分のことを考えてしまっているために相手の話に集中できなくなっている場合と同じ状態だと思います。
ですから、相手の話を聞くとき、基本は「第2ポジション」に席があって普段はそこにいるのだけど、ときどき「第3ポジション」の席にも座ってみる。
このように「第2ポジション」と「第3ポジション」の間を自由に渡り歩くことができるのが、話を聞く時の姿勢としてより望ましいのではないかと思いました。
3. まとめ
・まずは自分が「第1ポジション」に座っていないか気をつける
・次に自分が「第2ポジション」に座って相手の話を聞くことを意識する
その際、「相手のことだけ話題にする」という考え方は役に立つ
・そして、「第3ポジション」にも時々座ってみて、相手の気づいていない
別の視点から一緒に問題について考えてみる
〈今日のチャレンジシート〉
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1.この本を読んだ目的、ねらい
・相手に満足してもらうための会話のコツを学ぶ
2. 読んでよかったこと、感じたこと
・聞く時にはポジションを意識する、という考え方を学んだ
3. この本を読んで、自分は今から何をするか
・「第2ポジション」と「第3ポジション」を自由に渡り歩けるようになる
4. 3か月後には何をするか、どうなっていたいか
・「第2ポジション」と「第3ポジション」の聞き方に習熟している
・会話が弾み、「また会いたい」と思ってもらえるようになっている
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