読書尚友

先人の叡智を自分の行動に落とし込んで、成長と成果に変えていくブログ。焼きたてのトーストにバターを塗るように、日々の学びを薄く薄く伸ばして染み込ませてゆく

読書日記『山月記』中島敦 著①

 

山月記・李陵 他九篇 (岩波文庫)

山月記・李陵 他九篇 (岩波文庫)

 

 

今日の読書日記は『山月記』から。

 

 

己(おれ)は次第に世と離れ、人と遠ざかり、憤悶(ふんもん)と慙恚(ざんい)とによって益々(ますます)己(おのれ)の内なる臆病な自尊心を飼いふとらせる結果になった。人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。己(おれ)の場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。

 

 

人生は何事をも為(な)さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄(ろう)しながら、事実は、才能の不足を暴露(ばくろ)するかも知れないとの卑怯(ひきょう)な危惧(きぐ)と、刻苦を厭(いと)う怠惰とが己の凡(すべ)てだったのだ。

 

己よりも遥かに乏しい才能でありながら、それを専一に磨いたがために、堂々たる詩家となった者が幾らでもいるのだ。虎と成り果てた今、己は漸(ようや)くそれに気が付いた。

 

 

子供の頃から、自分でも良くないなぁと思う悪い思考回路が備わっています。

 

自分の周囲で何かトラブルがあった時、何かのトラブルに巻き込まれた時、

「自分は悪くない。自分のせいじゃない。」

とすぐに考えてしまう、そういう傾向が今でも強くあります。

 

本質は、自己中で自分勝手。世界の中心は俺様。傲慢で不遜。周りの人に対してあまり関心を持たないくせに、周りの人が自分のことをどう思っているのかは気になったり。

 

中身がを伴わないことは分かっているのにプライドだけが高くて、周りの人が何かをしてくれても感謝の気持ちをうまく表すことができないまま。

人に何かを頼むのは苦手。その根底にあるのはとても大きな羞恥心だと思います。

 

 

 

自分はおそらく、これから一生かけて学び続けても、一生未熟者なのだと思うのです。

 

だからこそ、ずっと謙虚にありたい。

 

自分は自分一人の力で「生きている」のではなく、

取り巻く環境や周りの人達によって「生かされている」。そのことを忘れずに。日々、感謝の言葉を表したい。そして刻苦を厭わぬ努力を続けたい。虎にならないためにも。そう思うのです。