読書尚友

先人の叡智を自分の行動に落とし込んで、成長と成果に変えていくブログ。焼きたてのトーストにバターを塗るように、日々の学びを薄く薄く伸ばして染み込ませてゆく

言語化することの効用は? 読書日記『プロフェッショナルたちの脳活用法』茂木健一郎 NHK「プロフェッショナル」制作班 著①

 

プロフェッショナルたちの脳活用法 (生活人新書)

プロフェッショナルたちの脳活用法 (生活人新書)

 

 

今日の読書日記は、『プロフェッショナルたちの脳活用法』から、言語化することの効用について。

 

 

脳にも苦手なことがある。

 

たとえば一流のスポーツ選手の高度な技を理論的に分析し、筋肉の使い方やタイミングのとり方などを勉強したところで、すぐに同じ技が身につくわけではない。

 

なぜなら、情報をインプットする「感覚野」と、動きとしてアウトプットする「運動野」とは、脳の中で直接コミュニケーションすることができないからだ。

 

感覚野は、「見る」「聞く」などの五感を通して受け取った情報を理解し、記憶として蓄える働きをする。一方、運動野は「走る」「踊る」「歌う」「描く」といった、体を使って何かを表現する働きをつかさどる。

 

この両者の仕事が脳の中できっちり分業されているため、人間は「わかっているのに上手くできない」という状態にしばしば陥ることになる。

 

この状態を解消するためには、感覚野(入力側)と運動や(出力側)が情報を共有できればいい。だが、両者を直接つなぐ回路は、脳の中にはない。そこで重要になってくるのが、両者をつなぐ回路を脳の外側につくることだ。

 

難しいことではない。「自分に言い聞かせる」という表現があるが、これはまさに入力と出力の回路をつなぐことであり、感覚野の情報と運動野の働きとを同調させるシンプルな方法である。

 

自分がやりたいことを一度アウトプットして、具体的な言葉や形になったものを自分の脳にあらためてインプットしてやることで、運動野と感覚野のバランスを保つことができるのだ。

 

言葉というと「抽象的なもの」というイメージを持たれがちだが、感覚と運動が統合される働きにおいて、言葉は"核"になる存在なのである

 

言葉にした内容は視覚的にも確認できる文字や文章にすることで、言語化の効果が一段と高まることが期待できる。

 

そして、何よりも注目すべきは、脳の中では言葉も物も、同列で扱われるということだ。言語化することによって、潜在的にあったものが引き出され、「自分のことがよくわかる」「やるべきことが明確になる」という効果が生まれる。

 

その結果、頭の中に漠然と存在していた欲求や目標が具体的な形をとりはじめ、「夢」が「現実」となるということが起こるわけである。

 

 

頭の中で「よし、これをやろう!」と決めただけではダメで、その「やろうと思ったこと」を紙に書いて言語化してそれを見て、再度インプットしてやることでアウトプットが行われやすくなる、ということだと思います。

 

脳の中での「入力系統」と「出力系統」が直接つながっていない、ということが意外に感じました。

 

よくパソコンに例えられて、五感がインプット、脳がCPU、体の動きがアウトプットのように言われますが、実は、CPUのところで接続不良があったということになります。

 

入力されたものの一時的に失われてしまった情報は、再入力、リフレッシュしてやることで出力系統に橋渡ししてやることができるようです。

 

その再入力では、外部記憶装置の力に頼るのが良いと述べられています。それが、視覚化された文字や文章です。

 

PCであれば、USBメモリとか、外付けハードディスクとか、クラウドのストレージとかに当たる部分です。

 

言語化して1度出力して、再度入力することで、脳の中でその「やりたいこと」がよりはっきりとした形を持って認識してされるようになります。

 

よりはっきりとした形をともなった願望であれば、より行動しやすくなる、そのため、夢や目標の実現に近づく、というのは納得しやすい話だと感じました。

 

もう一点、脳の中で「言葉」と「物」が同列に扱われる、ということが面白いと思いました。

 

これはつまり、机や椅子などの「物」を認識することも、自分自身のことを「言葉」として認識することも、同じだということです。

 

例えば、目の前に机があったとして、その様子を観察したとします。色は何色か?どんな形をしているのか?材質は何でできているのか?引き出しはついているのか?など、目で見たり、触ってみたり、叩いて音を聞いてみたり、「観察する」とその机に関する色々なことがわかります。

 

では自分自身についてはどうなのか?もちろん、鏡です自分の姿を見たり、声を自分の耳で聞いたりすることはできますし、それによって自分はこういう人間なんだと認識することはできます。ただしこれらは「外見的」な出力です。

 

「内面的」な出力を得ようと思ったら、どうしても自分の心の動きを観察して、それを言語化してやる必要がでてきます。

 

こうしてやることで初めて、自分が何を考えていて、何がやりたいのか、どうありたいのか、ということが分かってきます。

 

机を詳細に観察すれば色々な情報が分かります。例えば、材質が木の合板ではなくて、鉄製だということがわかれば、「これを動かすのは大変そうだ。台車を持ってこよう」という判断ができます。

 

自分自身も詳細に観察して、そして観察した内容について「言語化」しておけば、「こういうふうになりたいんだな、だったらこうしよう」というように「動かし方」が見えてきます。

 

自分を動かすには自分を知ることが大切です。内省と、その言語化によって、言わば自分の「取り扱い説明書」を作り、それをアップデートしていくことで、目標の実現につながる行動がとれるようになるのだと思います。

 

例えば私の場合、仕事の後、帰宅すると、全然勉強する気にならない、もし勉強する気になってもいまいち捗らないということが、自分を観察してきた結果として分かっています。

 

だから、「帰宅前にもし時間がとれる日があれば、できるだけカフェに寄って勉強する」ということに決めています。そうすることで、やる気と時間を確保しています。

 

「机とはこういうもの」、それと同じく、「自分とはこういうもの」という情報を得るために、日々、自分の観察を行いましょう。それを言語化していけば、根性や気合に頼らない、未来につながる一歩が踏み出せるはずです。

 

 

〈今日のチャレンジシート〉
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1.この本を読んだ目的、ねらい

 

・脳の性質と、それに従った行動の方法を知る


2. 読んでよかったこと、感じたこと

 

・感覚野と運動野をつなげてやるために、

    言語化して橋渡しをしてやれば良いことを

    学んだ


3. この本を読んで、自分は今から何をするか

 

・内省を繰り返し、自分が行動するための

    「取り扱い説明書」を日々アップデートしていく


4. 3か月後には何をするか、どうなっていたいか

 

・考えた次の瞬間には行動が始まっている

   くらいに、入力から出力が高速化している

 

・意思の力に頼らずに、その日にやるべき行動を

    その日のうちに完結することができるように

    なっている

 

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