人の気持ちが分かるリーダーになるためには? 読書日記『日本一小さな航空会社の大きな奇跡の物語―――業界の常識を破った天草エアラインの「復活」』奥島透 著①
日本一小さな航空会社の大きな奇跡の物語―――業界の常識を破った天草エアラインの「復活」
- 作者: 奥島透
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド・ビッグ社
- 発売日: 2016/04/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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今日の読書日記は、『日本一小さな航空会社の大きな奇跡の物語―――業界の常識を破った天草エアラインの「復活」』から、感謝の気持ちを表すことについて。
社内コミュニケーションによる一体感の醸成と安全対策の強化を推し進める一方で、社員たちの気持を前向きにするにはどうすれば良いかを考えました。
私は日本航空の社員だったころ、整備の現場に約8年勤務しました。その時の経験を通して、一つの社会人としての背骨ともいえる考え方を持っています。それは「会社の黒子である職場に陽が当たる経営をする」というものです。
整備部門の中でも出発便と到着便だけを行う「運航整備」と言われる職場は、かろうじて乗客と接する機会はありますが、航空機の格納庫の中で油にまみれながら毎日の給油作業などをしている「点検整備」と言われる職場は、乗客の目に全く触れることはありません。
私はこの点検整備の現場で仕事をしていたのですが、安全に一番直結した仕事であるにもかかわらず、社内外からあまり評価がされず、恵まれない職場であることを不満に感じていました。
ある時、そんな私の思いを一気に吹き飛ばす出来事がありました。
日本航空は一般の乗客を乗せる機体だけではなく、政府専用機も整備の委託を受けています。政府専用機が出発する際、VIPがタラップの上から見送りの人たちに対して手を振り、挨拶をされます。そんな風景をテレビのニュースなどで見たことのある方は多いと思います。
整備士もお見送りをするのですが、ここでも目立つ存在ではなく、ほとんどのVIPは手を振ってなどくれません。
しかし、ある総理大臣が出発の際にとった態度に驚かされました。
この日、私は日本航空の整備部門の責任者としてお見送りしていたのですが、この総理大臣はタラップの上から我々整備士のほうを向き、突然、頭を下げられたのです。
安全な飛行のため、誰の注目を浴びることもなく作業している我々の苦労が一瞬にして報われた気がしました。
そして、私自身、こうした人の気持ちがわかるリーダーになりたいと思いました。
この総理は毎回、出発の際には整備士たちに頭を下げられていました。ちなみに、私が知る限り、整備士たちに頭を下げる総理大臣はお二人しかおりません。
天草エアラインの社長として、できる限り整備士たちへの感謝の気持ちを伝えるように努めました。
〈今日のコンテンツ〉
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1. 上手くいったら「おかげさま」
2. 謙虚な心で
3. まとめ
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1. 上手くいったら「おかげさま」
本書は、日本航空を経て、航空機を1機しか持っていない従業員50人ほどの熊本県の航空会社、天草エアラインの社長に就任した著者が、債務超過に陥っていた会社を5年間かけて再建した内容について書かれたものです。
本書では、会社経営におけるモットーとして「社員を大事にする。企業の源泉は社員のやる気である」ということを述べられていますが、そのような考え方は、日本航空在籍時に、整備部門という裏方での勤務経験があったためだと考えられます。
今回引用したエピソードでも述べられている通り、「人の気持ちが分かる」リーダーになりたいと思ったならば、私たちができることはなんでしょうか?
現時点での私の答えは「感謝の気持ちを忘れない」ということです。
これは考えるまでもなく、ごくごく当たり前なことではあるのですが忘れてしまいがちなことです。
「上手くいったらおかげさま。上手くいかなかったら自分のせい」という言葉をどこかで聞いたことがあります。
私たちは必ず調子の良い時と悪い時があって、調子の良いときには、つい自分の能力を過信してしまいます。そういった時に、他者に対して尊大な態度をとってしまっていないか、立ち止まって考えてみる必要があると思います。
何かが上手くいった、その成功は本当に私たち「個人の実力」で成し遂げたものなのでしょうか?仲間や家族のサポート、自分を信頼してくれた顧客がいたから「たまたま」うまくいっただけのことなのではないでしょうか?
自分を取り巻く出来事が良い流れにある時ほど、こういったことに気付くことは難しくなります。
当たり前の日常の中に溶け込んでしまっている「周囲の協力」にもう一度視線を向けること、そうして掘り起こした周囲の協力に対して「日々、ちゃんと、感謝の気持ちを伝える」ことは、決して忘れてはいけないことだと思います。
2. 謙虚な心で
「上手くいったらおかげさま。上手くいかなかったら自分のせい」を真逆にすると、
「上手くいったら自分の実力。上手くいかなかったら人のせい」ということになります。
この考え方に問題があることは分かっているつもりでも、気をつけないと私たちはこのような考え方をしてしまいます。特に上手くいかないことを「人のせい」にしてしまっていないでしょうか。
どんなに小さな成果でも、あるいは協力でも、得られた場合はその人に感謝を伝えるようにしたいと思います。
例え成果が出ていなくても、自分が日々元気に過ごすことができているのは家族や友人が支えてくれているからです。そのことに対して欠かさず感謝を伝えておくことはとても大切なことだと思うのです。
感謝を伝えることは謙虚な心を育みます。謙虚であるということは、相手の気持ちを慮ることができるということです。それは決して卑屈になることではありません。
「卑屈」な状態は意識が自分の方向を向いています。一方、「謙虚」な状態は意識が相手の方向を向いています。
私たちは他者との関係性の中で生きています。自分自身は一生、未熟者だと考え、謙虚に相手を立てて感謝することは、より良い関係性を構築して人生の充実感を高めることにつながると思います。
感謝の気持を伝えて、謙虚になり、人の気持ちが分かるようになりたい。そのような人になりたいと願うならば、こういう考え方をしてみたらどうでしょうか。
「自分をいつも支えてくれている「裏方」は誰だろう?」
おそらくすぐに思いつくのではないでしょうか。
日常、私たちが関係を結んでいる人達、その全員が、何かの形で私たちの「裏方」として私たちを支えてくれており、私たちが感謝を伝えるべき対象になってくるのではないかと思います。
幸い、感謝の気持ちを伝えることは「コストゼロ」でできることなんですよね。
伝えることで得をすることはあっても損をすることはありません。
3. まとめ
・上手くいったら「おかげさま」、上手くいかなかったら自分のせい
・日々、感謝の気持を伝えることは謙虚な心を育む
・謙虚になって相手の気持ちを考えられる人になりたい
〈今日のチャレンジシート〉
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1.この本を読んだ目的、ねらい
・社会や従業員や顧客に対して貢献している会社について学ぶ
2. 読んでよかったこと、感じたこと
・社員を大切にすること、コミュニケーションの大切さを学べた
3. この本を読んで、自分は今から何をするか
・日々、謙虚であることを目指し、感謝の気持を
身の回りの人達に伝えていく
4. 3か月後には何をするか、どうなっていたいか
・自分が接する人達と良好な関係を築くことで人生が
一層充実して感じられるようになっている
・良好な関係性の輪が今よりも大きくなっている
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日本一小さな航空会社の大きな奇跡の物語―――業界の常識を破った天草エアラインの「復活」
- 作者: 奥島透
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