自分を成長させる線の引き方は? 読書日記『一流の人は、本のどこに線を引いているのか』土井英司 著
今日の読書日記は、『一流の人は、本のどこに線を引いているのか』から、読書において線を引く箇所について。
影響力のある書評家のなかには、ベストセラーを嫌悪し、読むべきではないとまで言う人がいる。私には全く理解できない。ベストセラーを読むことには大きな意味がある。「なぜその本は売れたのか」を見極めるだけで価値があるのだ。
世の中はノイズに満ちている。しかし、時代の変化を予感させるシグナルもある。ベストセラーはときとしてシグナルになる。うまく読み取れれば、変化を先取りできるかもしれない。
その本は、なぜベストセラーになったのか。答えはシンプルだ。普段本を読まない人たちが買ったからだ。いつも眉間にしわを寄せて難解な言葉を使う評論家が買ったのではなく、一般の庶民たちが買ったからこそベストセラーになったのだ。
あなたのビジネスの客は、評論家か?庶民か?
答えが「庶民」であれば、ベストセラーを読み「なぜ売れたのか?」を研究してみよう。ベストセラーは、「中身」を読むために開くのではない。その本がいかにしてヒットしたのか、どうやって庶民の心をつかんだのかを知るために開くのだ。マーケティングは庶民の心をつかむためのものだ。
たとえ本のなかに1箇所も線をひけなくても構わない。広告、説明文、タイトル……。
何がヒットの要因なのか、本の「外」に線を引く意識を持つことも大切だ。
ビジネス書に限った話ではない。東野圭吾氏の小説が世間でもっとも受け入れられている小説ならば、ベストセラーを支えている層の知的レベルがどのくらいかを認識するための最適なサンプルになり得る。
公認会計士、山田真哉氏のミリオンセラー、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社新書)に対して辛辣なレビューを浴びせたのは、たいがい同業者か、経理担当者だった。
プロが読むに値しない本、レベルの低すぎる本、中身がない本……。ベストセラーは、こうしたレビューを集める運命にあるのかもしれない。
私の眼には、その書き手の文章から嫉妬心しか見えない。
経理のプロが読むレベルの本ではない、というが、経理のプロが読むべき本にせずに一般化したからこそミリオンセラーになったのだ。
こうしたレビューを書くのは、自分が関係しているジャンルに思わぬ金鉱が隠れていたことに気づけなかった自分自身への苛立ちであって、己の嫉妬心に気付けない以上、成長はそこで終わりである。
ベストセラー本なんてレベルが低い、と言ってしまうと「学び」をわざわざ手放すことになる。いいと世間が評価している以上、そこには学べることが必ずあるのだ。たとえ中身になくても、売り方や売れ方にヒントがあるはずだ。
繰り返し述べたい。線を引く箇所は、本の「なか」とは限らない。本の「外側」に線を引く箇所があるかもしれないのだ。
〈今日のコンテンツ〉
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1. 食わず嫌いをしていないか
2. 本の外に線を引く
3. まとめ
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1. 食わず嫌いをしていないか
読書をすると、自分にとって価値ある一文や一節に遭遇することが度々あります。そういった箇所には付箋を貼っておいたり、マーカーで線を引いたりする人も多いのではないでしょうか。
この本は、日本最大級の書評メルマガ『ビジネスブックマラソン』で知られる土井英司氏が、2万冊以上の読書を行なってきた中で身につけられた、読書における「線の引き方」について述べられたものです。
超一流の書評家が、読むべき本と読む必要のない本をどうやってふるいにかけているのか、それを知ることができるので非常に参考になります。
自分の中にはなかった、読むか読まないかを決める「判断基準の物差し」を取り入れていくことで、失敗を減らし、自分が読書を行う時間もより有意義で密度の高いものにしていけるのではないかと思います。
今回引用したのは、「ベストセラー」に関する接し方について書かれたところです。
確かにベストセラーと呼ばれる本については、私もあまり積極的に読んではいませんでした。
映画化されたような小説のベストセラーは読みますが、「1ヶ月で確実に痩せる◯◯ダイエット」とか、そういったベストセラーを読んでも「自分ではあまり活用できない」と感じるからです。
だいぶ昔、「ケータイ小説」と呼ばれるものが流行っていた時代、書籍化もされてベストセラーとなった本を購入したことがあります。
それは自分なりに、世の中の流行や話題についていこうとしていたのだと思います。
帰宅後、いざ、本を開いてみて、美しい装丁に対する中身の文字数の少なさ、文体に衝撃を受けました。
「残念ながらこれは自分が手を出すべき本ではなかった」
と、とても後悔したことを思い出しました。
そのような経験をして以来、新聞や雑誌、あるいは書店が独自に発表している「今週の販売ランキングトップ10」のようなものには、どちらかというと懐疑的な見方をするようになっていました。
「売れているからといって、自分に合うかどうかは分からない」
というのがその時に得た教訓でした。
今考えると、そもそも件の「ケータイ小説」の想定読者ターゲット層に、私は「最初から入っていなかった」のです。
しかし、「ハズレくじ」を引いてしまった、という気持ちだけは残り、ハズレくじを選んだ自分に対する怒りよりもむしろ、そんな(自分にとっての)ハズレ本に対して怒りを「転嫁」してぶつけてしまっていました。
その怒りが自分の内側に収まりきらなくなるくらいのレベルまで高まると、今回引用した部分にあるように、amazonで辛辣なレビューを書かずにはいられなくなるのでしょう。
そして、二度と世間のベストセラーなどには手を出すまい、と固く決意する訳です。
私は1度もamazonでレビューを書いたことはありませんが、ベストセラーというものに対する「抵抗感」は、上記のような自分の失敗体験からも、根強く持っていました。
ですが、そのような「食わず嫌い」の態度はどうやら間違っていたようです。
2. 本の外に線を引く
自分にとって、読んでみて「ハズレ」だった本に対して、ぶつける怒りの矛先はそもそも「本」ではなく、「自分自身」であるべきだ、ということには今回は深く突っ込みません。
それよりも大切なことは、一冊の「ベストセラー」が、「何故ベストセラーと成り得たのか?」です。
そのような「問いを立てる」ことにより、本からの学びは本の中には収まりきらないようになる、と著者は言います。
ある一冊の本が企画され、出版されて、どのような経緯で話題となり、広く親しまれるようになったのか。
そのような、本それ自体がベストセラーになるまでのストーリーの中には、例え中身がどんなに「ハズレ本」だったとしても、ビジネスにおいて学べることがたくさんある、ということです。
そのことを「本の外に線を引く」という上手い表現で述べられています。
私自身はここまでの発想には思い至っていませんでした。
確かに言われてみれば、自分の気づきに対して線を引く場所は、別に本の紙面上である必要はないのです。物理的な空間の制約に従う必要がないのです。
そうであるならば、これは読書以外のことにも応用が効くでしょう。
人との会話の中、街で見かけた面白い看板。美味しそうな焼きたてのパンの香り。
そのような五感で捉えることができる全ての現象に対して、私たちは「線を引く」ことができます。
このことを「フックをかける」と言ったり、「心の片隅に留めておく」と言ったりもします。
ただし、本の外、心の中で引いた線は時間経過とともに忘れてしまいます。
ですから、面倒でもやはりメモに書いて残しておいた方が良いでしょう。
引いた線の中から、自分が何を学んだのか?そしてその学びを活かしてこれからどうするのか?
そうやって集めた言葉は、どんなビジネス書にも勝る自分だけのベストセラーになっていくはずです。
3. まとめ
・ベストセラーの内容が「自分向けではない」ことから
「食わず嫌い」になってしまっていないか
・ベストセラーがベストセラーと成り得た原因は、「本の外」にある
だから、「本の外」に線を引く場所がないかを意識してみよう
・五感で認識できるあらゆるものに「線を引く」ことができる
〈今日の読書を行動に変えるための
個人的チャレンジシート〉
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1.この本を読んだ目的、ねらい
・超一流の書評家の本の選び方、活用の仕方を学び
自分の読書に役立てる
2. 読んでよかったこと、感じたこと
・本の外に線を引く、という発想を知ることができた
・「著者は『一流の変態』を選ぶ」、という視点を知ることができた
3. この本を読んで、自分は今から何をするか
・ベストセラーがベストセラーとなった背景に線を引き、
自分のビジネスに取り入れられないかを考える
4. 3か月後には何をするか、どうなっていたいか
・自分にとっての良書に出会える確率が上昇している
・本の外にも線を引きまくっている
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