類推する力を養いたいなら? 読書日記『アナロジー思考』細谷功 著
今日の読書日記は『アナロジー思考』から、「借りてきて、つなげる」ことについて。
アナロジーの日常生活でのトレーニングの意識としても最も重要なことは、身の回りのものをすべてつなげて考えてやろうという意識である。
こうすることで、1つの経験が2にも3にも、あるいは場合によっては「10」や「100」にも増殖させることができる。
つまり「すべての事象を自分に関係させる」ことである。
発想を促せる場面は24時間、365日いつでもあるということである。
ここで意識として必要なのが、先に述べたように常にいわゆる「アンテナを張っている」状態を作ってしまうことだ。
ここでは「なんでも関係させてやろう」という姿勢に加えて目的意識を高く持っていることがあげられる。言い換えれば常に仮説を持ってことに臨むということである。
先述のとおり、アナロジーの第一ステップは解決したい事象を正確に理解し、何が問題かを常に意識として持っていることである。
発想力を豊かにするには、一度徹底的に悩んだ状態を作っておくのも次の「偶然のひらめき」を生み出す上で重要なことだといえる。
特にアナロジー思考では、「まったく異なるように見える世界から借りてくる」ことが重要である。
「アンテナが常に立っている」という状態だからこそ、遊んでいるときやぶらぶら街を歩いているときにも「つなげる力」の思考回路が起動すると考えられるだろう。
アナロジー思考を「骨までしゃぶる」ための心構えとして重要なのは「すべてのものを関係させる」ことである。
したがって逆にいえば、最大の「べからず」が、個別事象を必要以上に「特殊だ」と考えてしまうことである。
「これは特殊なケースだ」「自分の場合は特別だ」と考えた瞬間に思考は停止する
とかく人は自分を特別視しがちであるが、第三者から客観的に見れば「他のケースと同じだ」と思えてしまうことの方が多い。
確かにどの業界にも固有の特殊性があるのは間違いない。例えば「特別な規制でがんじがらめになっている」「昔ながらの慣習が今も強く残っている」などの理由で特殊性が強いと感じるなら、「規制や慣習が強い」というその「特殊性そのもの」ですら一般化できる可能性だってあるのだ。
とにかく共通点を探してみること、直接なければ抽象化したレベルでの共通点を見つけること、これがアナロジー思考の「第0ステップ」である。
〈今日のコンテンツ〉
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1. つなげる力
2. 自分の状況は本当に特別なのか?
3. まとめ
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1. つなげる力
アナロジー=「類推」です。本書では、他の業界や領域における事象から、自分が取り組んでいる課題解決のヒントを得るための「類推」の力の重要性とそれを養う方法について述べられています。
二つの出来事があったとして、それぞれの具体的な内容それ自体は全く別のものに見えているとします。でも、それを一段高い視点に「抽象化」してやると、「結局同じこと」を表していることがよくあります。
特に科学技術の分野では、このような異分野の内容が「偶然よく似ている」ということが頻繁に起こり、そのようなアナロジーの活用により発展してきた、という経緯があります。
例えば、簡単な例で言うと、力学の世界で、二つの物体の間に働く引力は、それぞれの質量の積に比例し、距離の二乗に反比例するという「万有引力の法則」があります。
これに対して、電磁気学の世界における二つの電荷の間に働くクーロン力は、それぞれの電荷量の積に比例し、距離の二乗に反比例するという「クーロンの法則」の式は全く同じ形をしていたりします。
そしてこのようなことは、科学技術の分野に限らず発生します。私たちは「アナロジー思考力」を高めて、それに「気づく」、つまり、関係のないような分野の事象を抽象化して、自分の課題に「当てはめてみる」ことで、大きなブレイクスルーを起こすことができるようになるということです。
例えば、回転寿司で寿司の乗ったお皿が回ってくるレールの発明は、元々ビール工場で、ベルトコンベア上で瓶が回りながらビールを注入されている様子を見たことがきっかけであったそうです。
このようなブレイクスルーを私たちが自身の課題解決において起こすために必要なのが、今回の引用部分にもある「身の回りの全ての事象を自分に関係させてやろうとする」考え方です。
どんな出来事があっても、そこから今の自分にとって役立つ何かの教訓が引き出せないか?考え方や構造を借りてくることができないか?つなげることができるのではないか?
そのようにアンテナの感度を常日頃から高めておくことで、他の人が気づかないような微弱な電波を受信、つまり、「面白い共通点に気づく」ことができるようになります。
アンテナの感度を高めるために「悩みぬいた」状態になっておくことも大切なようです。
2. 自分の状況は本当に特別なのか?
アナロジー思考ができるようになるために、気をつけておきたいのが、自分を取り巻く環境に対する強固な「固定観念」です。
「自分の業界は特殊だから、他業界の事例は当てはまらない」
「自分の置かれた環境は他の人と比べ物にならないくらい厳しい」
それは本当でしょうか?どうにかして確かめられたのでしょうか?
極めて専門性の高い、その業務を行う人の少ない職種というものも、もちろん存在しているでしょう。
ですが、他と「100%違う」ということはまずありえないはずです。
最初から「他の業界の話が自分の役に立つ訳ない」と切り捨ててしまうのではなく、「何かの一つだけでもヒントを得られないか」という姿勢で臨む方が
何かを得られる確率は上がるでしょう。
「こじつけでも良いので共通点を探してやろう!」という意識が、アナロジー思考の力を高めることにもつながるし、結果として大きな気づきを得られることにもなるのだと思います。
怖いのは自分は特別だという「思い込み」、「固定観念」です。これがあるとそこで「思考停止」してしまって、先に進めなくなってしまうからです。
ですが、もし「自分は◯◯だから◯◯できない」という固定観念を持っていることに気づくことができたなら、それを「取り外す」ことにも取り組んでいけるはずです。
アナロジー思考の力を養うことは、自分のいる「小さな世界」と「外の世界」を「接続」して、具体と抽象の行き来をすることです。
それは鳥が空から見下ろすように、今よりも広い地図を見渡して、そして遠くから迫る雨雲に気づくように、未来の状況を見通すことでもあるのです。
3. まとめ
・アナロジー思考力を高めるためには、
「どんな出来事でも自分に関係させてやろう」とする意識を持つこと
・自分の環境、事象が特殊だと思った瞬間に「思考停止」に囚われてる
・「悩みぬく」ことは、アンテナの感度を高めて、異分野と自らの
課題をつなげる推進力となる
〈今日の読書を行動に変えるための
個人的チャレンジシート〉
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1.この本を読んだ目的、ねらい
・類推する力をつけるための具体的な方法について学ぶ
2. 読んでよかったこと、感じたこと
・どんな出来事でも自分の課題解決のヒントを得るために
使おうとする貪欲な姿勢を学んだ
・アナロジー思考は万能ではなく、アナロジーによる仮説を
立てた後は、論理で補う必要があることを学んだ
3. この本を読んで、自分は今から何をするか
・アンテナの感度を高めるために、あらゆる事象を抽象化して、
教訓を引き出す訓練を始める
4. 3か月後には何をするか、どうなっていたいか
・さまざまな出来事から抽象化した道具を複数創り出し、
それを自分や人の課題解決に役立てることができるように
なっている
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