優れた思考力を身につけるためにはどうすれば良いのか? 読書日記『本物の思考力』出口治明 著
今日の読書日記は『本物の思考力』から、数字、ファクト、ロジックで考えることについて。
僕は、物事について数字やファクトを使って考え、ロジックに基づいて理解し、納得して初めて、知識や経験が自分の血肉になると考えています。
これこそが「腹に落ちる」ということなのです。
ここまでにお話ししてきた、「よく勉強し、よく考える」という行為は、腹に落ちる状態に至って、ようやく意味を成すといってもいいでしょう。
別の言い方をすれば、腹に落ちるまで、考えて、考えて、考え抜かなければ、どんなに勉強しても、理解した気になっても、絵に描いた餅にしかなりません。
人間は知識や物事を「腹に落ちる」まで考え抜いて、初めて具体的な行動に移ることができるようになります。
「考えれば考えるほど、行動に移せない」と言う人もいますが、それは単に「腹に落ちる」まで考え抜いていないだけのことなのです。
普段なかなか行動に移せないと思い悩んでいる人は、自分の状況や思いをノートや紙に書き出してみる、人に話してみるなど、どんな手段を使ってもいいので言語化してみましょう。
それらを目の前に並べて(つまりは要点を整理して)、そこから納得できるまで"考え抜く"習慣を身に付けることをおすすめします。
本書の軸となるテーマ「本物の思考力」を鍛えるためには、「腹に落ちる」まで考え抜くことが前提条件となります。
優れた思考力を得るということは、優れた他人の知識や思索、思考のプロセスなどを吸収したうえで、目の前の課題を自分の頭を使って考え抜き、自分の言葉で、自分の意見として他人に伝えられるということです。
「自分の頭を使って、自分の言葉で考え抜く」ことができて初めて「腹に落ちる」という感覚が得られるのです。
僕が誰かの意見を見聞きして「腹に落ちる」ときは、その人の意見が相互に検証可能な数字・ファクト・ロジックに裏付けされていて、反論のしようがない時です。
その3つが揃って、初めて議論に足る主義主張が完成します。
数字・ファクト・ロジックで物事を捉え、自分の頭で考える習慣が身に付くと、周囲の人や物事から受けるノイズで判断に迷ったり、あとで悔やんだりすることが圧倒的に少なくなるので、精神的にも時間的にも余裕が出てきます。
さらに言うなら、「自分は自由である」という感覚すら覚えるかもしれません。
頭のなかで自由に思索し、自分なりに構想し、自分の言葉でアウトプットする。
それは、誰からも邪魔されるいわれのない、みなさんだけに与えられた精神の自由なのです。
物事をありのままに認めること、自分の頭で考えること、自分の意見を述べること。
それらに貪欲になればなるほど、人生はより豊かに、おもしろくなっていきます。
「人生を楽しむ」とは、そういうことではないでしょうか。
〈今日のコンテンツ〉
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1. 「腹に落ちる」まで考える
2. 精神の自由へ
3. まとめ
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1. 「腹に落ちる」まで考える
この本は、ライフネット生命保険の創業者で現会長の著者が、「リテラシー」と「思考力」を高めるための方法について述べられたものです。
リテラシー(Literacy)という言葉のもともとの意味は「読み書き能力」のことですが、そこから転じて、「ある物事について、その特徴や実像を正しく理解し、適切に使いこなす能力」というニュアンスでも使われるようになりました。
そのニュアンスで使われる例としては「ITリテラシー」、「ファイナンシャルリテラシー」などの言葉があります。
このリテラシー、つまり「正しく理解し、適切に使いこなす能力」というのは意識して学ばないと身につけることができないと思います。
ニュースやテレビ、あるいはネットで見聞きした情報をそのまま「鵜呑み」にしてはいけない、ということです。
例えば、人気の高級レストランのシェフであれば、業者が「これは美味しいですよ!」と宣伝して売っていた食材を仕入れた時、その業者の言葉をそのまま信用してお客に出すのではなく、一度、自分で実際に食べてみる、ということを行います。その上で、その食材を料理に使うか、使わないか、使うならばどのように使うかを判断しているはずです。
「食べ物」の場合は、このように「一度、自分で味を確かめる」という手順を踏む人がほとんどだと思います。しかし、これが「情報」になると、その情報の内容の信ぴょう性や意味するところについて、「一度、自分の頭で考えてみる」という手順を踏まない人が多いのではないでしょうか。
また、複数の新聞を読み比べると、同じ事件を取り扱っている場合でも、新聞各社で論調が異なったものになっています。
基本、発信される情報は、その情報の発信元にとって「都合の良い」情報ですから、それを頭から信用するのではなく、自分で「裏付けをとる」という姿勢は持っていないといけません。
そのように裏付けを取り、自分の頭で考える時の根拠となるのが、著者が述べられている「数字」・「ファクト(事実)」・「ロジック」がその情報の中にあるかどうか、です。
何故ならば、これらの3つが含まれている情報は「客観的」、つまり、誰からみても納得性が高いものになるからです。
・裏付けの取れる具体的な数字で情報が伝えられているか?
・主観やただの印象、感情論ではなく、事実の情報が述べられれているか?
・話の筋道が通っているか?すり替えや飛躍はないか?
これら3つのチェックポイントを踏まえながら、情報を見ていくことで、その情報が信用に足るものか、そうでないのかを判断することができるでしょう。
逆に言うと、自分から何かの情報発信を行いたい時にも、他者に納得してもらうためには、「数字」・「ファクト」・「ロジック」を意識した発信を心がけるべき、ということにもなります。
さらにもう一度翻って「数字」・「ファクト」・「ロジック」が組み込まれた情報の納得性が高い、ということは、自分自身に「腹落ち」させる、そして行動に移していくためにも、この3つを用意してやるとよい、ということにもなります。
つまり、「セルフコントロール」のためのテクニックとしても有効だということですね。
2. 精神の自由へ
今回引用した部分では、「数字」・「ファクト」「ロジック」で考えられるようになると、外部環境からの「ノイズ」に惑わされなくなり、「時間的、精神的な余裕が得られる」ということも書かれていました。
これは一見すると、不思議な感じがします。
何故なら、「数字」・「ファクト」・「ロジック」で考えることは、受け取った情報をそのまま受け止め、伝えるのに比べて、「手間がかかる」からです。
「手間がかかる」ということは、時間がかかるということであり、そして、「考える」ことに時間を取られるのであれば、精神的にも余裕がなくなる、ということにもなるはずです。
なのに、何故、手間のかかる「数字」・「ファクト」・「ロジック」を用いた思考法では、時間的にも精神的にも余裕が出てくる、と述べられているのでしょうか?
一つには、情報の取捨選択の判断基準が上がる、ということがあると思います。
「数字」・「ファクト」・「ロジック」で考えるという軸を自分の中に持っていれば、
その基準を満たさない情報は、触れたそばから、どんどん切り捨てていくことができます。
これがつまり、情報収集の時間短縮につながるのだと思います。
もう一つは「数字」・「ファクト」・「ロジック」に基づいて腹落ちするまで考えて行動した結果であれば、「間違えても仕方がない」と思えるからだと思います。
その境地に至ることが、精神的な余裕を生み出すことになるのではないでしょうか。
ある決断が、例え悪い結果を引き起こしたとしても、自分で考え抜いた末の決断と、あまり自分で考えずに、他人の意見に流された決断では、結果を受け止める時の後味が全然変わってくるでしょう。
従って、逆説的ではあるのですが、「手間をかけて」腹落ちするまで考えることが、時間的、精神的余裕の状態へと自分を導いてくれるということになるのだと思います。
「数字」・「ファクト」・「ロジック」で考えることを「苦行」と捉えるか、「自由への階段」と捉えるかはその人次第です。
私たちが自分の人生を本当に楽しむためにはどちらの道を選ぶのが良いでしょうか?
3. まとめ
・「数字」・「ファクト」・「ロジック」を用いて腹落ちするまで考えることで
思考力は磨かれていく
・人に納得してもらうためにも、また、自分自身を納得させて「行動させる」ためにも
「数字」・「ファクト」・「ロジック」は必須
・「数字」・「ファクト」・「ロジック」を用いて「手間をかけて」考えることが
時間的、精神的自由へと繋がる
〈今日の読書を行動に変えるための
個人的チャレンジシート〉
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1.この本を読んだ目的、ねらい
・思考力を高める方法を学ぶ
2. 読んでよかったこと、感じたこと
・「数字」・「ファクト」・「ロジック」で考える、という
思考の型を学ぶことができたのがよかった
・リテラシーをより一層高めていく必要性を感じた
3. この本を読んで、自分は今から何をするか
・人に説明する時には「数字」・「ファクト」・「ロジック」を
揃えて話すことを心がける
・自分に「腹落ち」させるために「数字」・「ファクト」・「ロジック」を
揃えてみる
4. 3か月後には何をするか、どうなっていたいか
・話し言葉にも書き言葉にも、無意識的に「数字」・「ファクト」・
「ロジック」が含まれるようになっている
・考えることが楽しくて仕方なくなっている
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