不安から解放されて自由に行動できるようになるためには?『自分のための人生』ウェイン・W・ダイア― 著
自分のための人生: 一日一日「自分を大事にして生きる」生活術 (単行本)
- 作者: ウエイン・W.ダイアー,Wayne W. Dyer,渡部昇一
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2014/09/19
- メディア: 単行本
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今日の読書日記は、『自分のための人生』から、自責と不安の取り扱い方について。
人間の一生でもっとも無益な感情が二つある。
「すんでしまったことに対する自責の念」と「これから行うことへの不安」である。そう、自責と不安は、最大の時間とエネルギーの浪費である。
自責とは、過去の行為の結果、金縛りになったままの状態で、"今"という時間を使うことである。一方、不安とは、未来に起こるであろう何かーーたいていは自分ではコントロールできない何かーーのために、今の自分を金縛りにしてしまうという罠である。
自責がなぜ不健全なのかというと、過去のできごとに関して、傷ついたり、取り乱したり、落ち込んだりしながら、自分のエネルギーをムダ遣いしているからなのだ。
不健全であると同時に無益でもある。いくら自責の念があっても、何も元に戻すことはできない。
この世の中には不安に思うべきことなど何もない。これからの人生を、未来に不安を抱きながら過ごすこともできる。けれどもいくら不安になってみても、ものごとは一つも変わらないのだ。
不安にさいなまれる時間を持つことが、今日一日、その不安の根本原因を改善することに、何か役に立っただろうか。
何の得にもならないような行為のために、今という貴重な時間を浪費しないでほしい。
不安をなくすには、不安の背後にある理由を理解する必要がある。
不安を抱くことの"メリット"とは何か。
不安を抱くというのは現在にかかわる行為である。だから、未来にとらわれて、現在というときを身動きできずにいるとすれば、それは現在から逃れ、今、自分を脅かしているあらゆるものから逃れることができるわけである。
不安を理由に活動しないでじっとしているのは、頭のいいやり方だし、不安な気持ちでいるほうが、活動的に何かに打ち込むことより、得るものは少なくても、明らかに楽なのである。
自分が不安な気持ちでいるのに気がついたら、こう自問してみるとよい。
「私はこの瞬間を不安のために使ってしまっているけれども、いったい何から逃げているのだろうか」
そして、自分が避けているものが何であれ、それに取り組むことだ。
そう、不安に対するベストの対抗手段は「行動」なのである。
不安をなくすひとつの手段として「不安のための時間」を区切り、それをだんだん短くするという手がある。
午前中に十分間、午後に十分間を何かについて心配する時間に当てる。
この時間を使って、起こる可能性のある不幸について時間内に収まる分だけ、あれこれ思い悩むのだ。
それから、自分の考えをコントロールする力を発揮して、その不安のための時間を超過する不安があったら、次の「不安のための時間」まで延ばす。
そうすると、たとえわずかでもこんなムダな時間の使い方をする愚かさに、まもなく気がつくだろう。
自分が昨日、そして、先週、さらには去年、不安に思ったことを全部並べて、不安の一覧表をつくってみるのもよい。
それら不安のうち、ひとつでも自分にとって生産的だったものがあるかどうかをチェックする。それから、自分が心配したことのうち、とにかく具体的な形を取って現れたものがいくつあるかも調べる。
不安は、実際、二重にムダな行為だということがすぐにわかるだろう。不安には、未来を変える力はまったくない。
不安を拭い去るもっとも強力な武器は、自分の人生において、前に進もうというみずからの決意なのである。
今を生きること、そして、今この瞬間を、過去や未来に対する考えに縛られて、ムダに過ごしている自分と向き合うのだ。
生きるべき瞬間は、"今"をおいて他にないのだ。
〈今日のコンテンツ〉
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1. 自責と不安
2. この場所から歩き出そう
3. まとめ
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1. 自責と不安
今から40年以上前に書かれた本ですが、学べることがたくさんあります。いくら文明が進歩しても人間の本質的な悩みは変わっていない、ということですね。
今回は「過去」や「未来」にとらわれない生き方をすることについて書かれた章から取り上げました。
「後悔」することは、どなたでも経験があることだと思います。「どうしてあんな馬鹿なことをしてしまったんだろう」。「何であんなことを言ってしまったんだろう」。
穴があったら入りたくなるような、そんな恥ずかしく、みっともない経験が、後々まで尾を引いてしまう。その結果として、「あの時失敗したから、きっと今度もうまくいかないだろう」とか、「これはやっぱり自分には向いていないのだ」と考えて、自分で自分の行動に制限をかけてしまう。そのようなこともありますよね。
今回引用した文章では、大きく「過去」の失敗に対する「自責」の念と、まだ起こっていない「未来」の失敗や不都合に対する「不安」の2つについて述べられています。
結論は極めてシンプルで、「自責」も「不安」も「無益」で「ムダ」なこと、と喝破されています。
「そんな身もフタもない」と思われたかもしれません。でも、著者の話を読んでみると、確かにその通りだと思うのです。
最近の技術の進歩は目覚ましく、これから訪れるであろう未来の社会や生活の姿に、私は個人的に非常にワクワクしています。ですが、残念ながら2018年2月の現時点では、まだ「タイムマシン」は発明されていません。
ですから、自分が「後悔」や「自責」の念を感じた「あの時間」に戻って、それをなかったことにしたり、やり直したりすることはできません。
いくら思いを馳せてみたところで、過ぎ去った「過去の事実」を変えることはできないのです。(「過去の事実」に対する「自分自身の意味づけ」を変えることはできますが、その話はまた今度。)
そして、いつ終わるか分からない私たちの人生、かけがえのない時間は、私たちが何をしようとしまいと「ただ、流れて」いきます。
そう、私たちが過去に思いを馳せて、「自責」の念に捕らわれている間にも流れているのです。
私たちの人生の終わりが来るのがいつかはわかりませんが、いつかは終わりが来ます。それまでの時間を「過去」に捕らわれてじっとしていることに費やすのは、果たして有意義だと言えるでしょうか。とても「もったいない」と思いませんか。
もちろん、「振り返り」は必要だと思います。失敗を繰り返さないためにも。そして、うまくいったことは、もっと良くしていくためにも。
ですが、「自責」という縄で自分を縛って、それによって今、行動しないこと、できないことを正当化するのは、自分を「甘やかしている」ことに他なりません。
「未来」に対しても同様です。「未知」のことに取り組もうとしている時、あるいは「過去に上手くいかなかった」ことに再び取り組むような時に、私たちは「不安」を覚えます。
「不安」を感じたおかげで人生が好転した、ということは、私にはこれまでのところありませんでした。
「不安」は北から吹いてくる向かい風のように、私たちの身も心も縮まらせてしまいます。結果として、その場に立ちすくんで一歩も動くことができず、ただただブルブルと震えながら時が過ぎるのを待つばかり、ということになります。
もちろん、時間が過ぎるのを待つことで、問題をやり過ごし、「不安」がなくなる、ということも場合によってはあるでしょう。
ですが、その場合、また同じような問題が発生した時には、同じように「不安」を感じて、また身動きができなくなってしまいます。
結局のところ、本当に「不安を消したい」と思ったら、過去にはとらわれず、「不安」を真正面から睨み据えて、そっちに向かって歩いていくしかないのです。
2. この場所から歩き出そう
「過去」については、振り返り、今から未来に活かせる教訓を引き出したら、それ以上は「クヨクヨ引きずらない」ようにしましょう。
私たちがもっと時間をかけて向き合うべきはこれからの人生を形作る「未来」、というよりもむしろ「今」です。
何故なら未来は、私たちのところに本当に来てくれるかどうかわからないからです。天災や戦争の勃発、あるいは病気や事故により、明日を迎えられない可能性だってあるのです。
だから「明日から本気出す」では間に合いません。
私たちの前を流れ続けて行く時間は止めることができません。貯めることができません。確実に行動することができるのは「今この時」だけです。
その貴重な今を「不安」という鎖に縛られてじっとしていたら、それを積み重ねるだけで、あっという間に1日が、1週間が、1カ月が、そして1年や一生が終わってしまうでしょう。
そんなのは嫌ですよね。
私たちが「不安」を感じるのは、おそらく遺伝子レベルで刻み込まれた生存本能が関連しているのだと思います。
例えば危ない場所に行く時のように、自分の身に迫る危険について、「不安」を感じることで事前に察知しているのだと思います。
ただ、今の私たちはこのような本能が教える不安に対するアンテナが敏感になり過ぎています。命の危険を感じるようなものではない、ささいなことまで、「失敗したらどうしよう」という不安を感じてしまうようになっているのです。
不安は本能的に備わっているものですから完全に消すことはできないかもしれません。でも、「不安」を感じる時間を訓練で短くすることはできるでしょう。
筆者は「不安のための時間」を午前と午後に10分ずつ確保して、その間、思いっきり、不安を感じてみる、ということを主張されています。
また、自分が現在感じている「不安の一覧表を作る」ということも述べられています。
これらはとても面白いやり方だと思いました。
一つ目の方法は、人生における無駄な時間である「不安を感じるための時間」をあえて用意してやることで、しっかり不安と向き合い、その時間が終わったら、もう「不安」はきれいさっぱり捨ててしまうのです。そしてその時間もだんだん短くしていくことで、不安とさよならしてしまおうというものです。制限時間を設けることで、いつまでも不安を引きずらないようにしています。
また、二つ目の方法は、不安の一覧表を作ることで、不安としっかり向き合って、その正体を言語化していくというものです。このように自分が「何に対して不安を感じるのか」、「何故不安を感じるのか」を明らかにすることができれば、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」というように、自分はなんと小さな悩みで大切な時間を費やしてしまっていたのかが分かるのではないかと思います。
「あえて不安タイムを設ける」、「不安をリストに書き出してみる」、という2つのワークは私もやってみましたが、頭の中がすっきりして、自分が何に捕らわれているのかが分かるので非常にお勧めです。
その結果として、「こんなことに不安を感じている時間がもったいない!」という結論に至り、行動が加速します。
私のように自分を臆病だと思っていても、それでも一歩ずつでも前に進みたい人は、その気持ちこそが最強の武器になります。
人と比べる必要はありません。「昨日の自分」が感じた「不安」を、「今」からは乗り越えていきましょう。
3. まとめ
・「自責」とは、過去の行為の結果、金縛りになったままの状態で、
"今"という時間を使うこと
・「不安」とは、未来に起こるであろう何かのために、
今の自分を金縛りにしてしまうこと
・「不安」を乗り越えるためには、
1.制限時間つきの「不安タイム」を設ける
2.「不安一覧表」を書き出してみる
という方法が役に立つ
〈今日の読書を行動に変えるための
個人的チャレンジシート〉
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1.この本を読んだ目的、ねらい
・人生における迷いを取り払う
2. 読んでよかったこと、感じたこと
・「今を生きること」の大切さについて改めて学ぶことができた
3. この本を読んで、自分は今から何をするか
・1日10分の「不安タイム」に思いっきり浸ってみる
そしてその後は不安を乗り超えて行動する
・不安をどんどん書き出してみる
4. 3か月後には何をするか、どうなっていたいか
・不安タイムが1日2分以下になっている
・自分を縛る「自責」と「不安」の鎖から
自由になっている
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