読書尚友

先人の叡智を自分の行動に落とし込んで、成長と成果に変えていくブログ。焼きたてのトーストにバターを塗るように、日々の学びを薄く薄く伸ばして染み込ませてゆく

Win-Win関係を築く情報発信を行うには? 『 マイクロソフト伝説マネジャーの 世界No.1プレゼン術』 澤円 著

現代社会において「仕事でもっとも必要なスキルを一つ挙げてください」と言われたら、私は迷うことなくプレゼン力と答えます。

 

 

しかし冷静に振り返ってみると、プレゼン力について誰かからきちんと教わったことがある人がどれほどいるでしょうか。それどころか「そもそもプレゼンとはどういうものか」という大前提すら、正しく理解していない人もかなり多いように感じます。

 

そもそもプレゼンとは何か?

何を目的に、どんなゴールに向かっているものなのか?

 

そんな根本的な問いに、あなたは答えられるでしょうか。

ちなみに、私はプレゼンには次の三つのゴールがあると捉えています。

 

①聴いた人がハッピーになる

②聴いた人から行動(決断)を引き出す

③聴いた内容を他人に言いふらしたくなる

 

端的に言えば、プレゼンとはこの三つを達成するためのものであり、この三つのゴールに向かって行うものです。

 

あなたが日々行っているプレゼンは、この三つに正しく向かっているでしょうか。

 

もしかしたら「情報を伝える」「相手に理解してもらう」など、いわゆる「ファクトの説明」に終始してしまってはいないでしょうか。「ファクトの説明」というのはプレゼンにおける一つの要素かもしれませんが、目指すべきゴールではありません。

 

 

相手からどんな行動を引き出したいのか。

 

ごく当たり前の話ですが、この「基本」をどれだけの人が強く、はっきりと意識した上でプレゼンを構成し、本番に臨んでいるでしょうか。もし、あなたがこの問いに明確な答えを持っていないとしたら、出発点からもう一度しっかり見直すべきでしょう。

 

では、どんなプレゼンをすれば、相手は行動を起こしてくれるのでしょうか。あるいは「行動したい」と思ってくれるのでしょうか。

 

ここで私が行き着いたのが、相手にとって「どんなハッピーな未来が訪れるのか」を伝えるということでした。

 

相手にとって「どんなハッピーな未来が訪れるのか」を伝える。

 

これこそがプレゼンにおいてもっとも大事な要素であると私は気づいたのです。

 

 

仮に自分が担当者に「ハッピーな未来」を伝えることができたとしても、その担当者が別の誰かに伝えることができなければ、プレゼンの価値は高まらない。

 

どうしたらプレゼンの本質を伝播・伝染させることができるか。

 

そのなかで私が辿り着いた一つの答えが「プレゼンの核を作る」というアプローチでした。プレゼンの中でもっとも本質的な部分を「心に残る印象的なフレーズやセンテンス」に落とし込み、せめてそのメッセージだけは「伝播できるもの」「伝言ゲームできるもの」「誰かに伝えたくなるもの」として相手に渡す。

 

それが「プレゼンの核を作る」ということです。

 

 

〈今日のコンテンツ〉

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1. この本はどんな本か?

2. 聴いてくれた人をハッピーに

3. 幸せのインフルエンザ

4. まとめ
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1. この本はどんな本か?

 

マイクロソフト社の10万人の従業員の中からトップの成績を収めた約10人だけに贈られるという「Chairman's Award」を受賞し、現在も年間200件以上のプレゼンテーションをこなす著者によるプレゼンテーションの本です。

 

ノウハウはもちろんなのですが、そのバックグラウンドとなる大切な考え方の部分、そして「こんなところまで気を配っているのか!」と驚くような高いプロ意識まで、人前で話す必要がある全ての人の参考になるところがあります。

 

2. 聴いてくれた人をハッピーに

 

組織に所属していると、「会議」がほぼ毎日のように行われます。ただ、この会議というものは、極めて生産性が低い時間帯になっていることがあります。

 

沢山の人が集まって、仕事が大きく進むのであれば良いのですが、単に情報共有を行うだけで大した成果がない、そんなことを感じていらっしゃる方も多いでしょう。

 

本書は会議の生産性を高めることについて述べられた本ではありません。ですが、本来、複数の人が集まって誰かの話を聞くのだとすれば、話し手は集まってくれた他のメンバーに対して、自分の話を伝えることによって、なんらかの「意思決定」や「アクション」をしてもらい、自分やチーム、組織としての仕事を進めていく。それが本来の会議の目的なのではないかと思います。

 

ただ、話し手の自己都合だけで、「私が困っているのであなたは〇〇を行って私を助けて下さい」とお願いしたとしても、それを聴いている相手はちょっと腰が引けてしまいますし、気分も今一つ乗らないでしょう。仮に行動して欲しい理由が明確だったとしても、「論理」だけでは人は動いてくれません。

 

相手に動いてもらうには相手の「感情」に働きかける必要があります。そのことを本書の著者は極めて分かりやすい言葉で表現されています。それが、

 

相手にとって「どんなハッピーな未来が訪れるのか」を伝える

 

ということです。

 

視点の違いに気づきましたか?

 

誰かに何かの行動をお願いするだけだとすると、相手が行動してくれたとしてもハッピーになるのは「私自身だけ」です。でも、その行動によって「将来、相手がどのくらいハッピーになるのか」を伝えて、それから相手が行動してくれたとすると、ハッピーになるのは「相手(と私)」になるのです。Win-Winになるのです。

 

どちらがより望ましいかは一目瞭然ですよね。私も含めて人間は自分が一番かわいい、自己中心的な生き物です。誰もが、自分の幸せには興味津々です。そこで、一歩引いた視点で「相手の幸せを含めてじっくり考えてみる」ことができるかどうか。その気持ちが大切になってきます。

 

このことはどれだけの波及効果を生み出すでしょうか。プレゼンに限らない「良い人間関係」の秘訣のようにも思いました。

 

 

「時間という人生における希少な資源を使って、自分の話を聞いてくれた人を幸せにしたい」。日々、人と話す時には、その思いを持って接することができたら、多分劇的に人生が改善してくるのではないか、と推測します。何故なら、私たちは社会の関係性の中に暮らしているからです。

 

 

誰だって、不幸になりたくないと思っています。私たち自身だけでなく、もちろん私たちの周りの人達も。

 

ですから、自分を大切にするのと同じくらい、身の回りの人たちも大切にする。その決意が「良い循環」を生みだしてくれるのではないでしょうか。

 

プレゼンによって、自分にとって望ましい行動を相手に行ってもらうとともに、相手にも幸せになってもらえたとしたら、それはとても素敵なことですよね。

 

おそらく人間関係において目指すべきはそこのところで、たとえ困難であっても、そのような「お互いがハッピー」になれる到達点を探す努力を放棄してはいけないのだと思います。

 

そのためには、まず、自分のハッピーよりも先に「相手はどうなればハッピーなのか?」について想像してみる、そんなところから始めてみるのがよいでしょう。

 

 

3. 幸せのインフルエンザ

 

著者はプレゼンのゴールとして、今回引用した通り、「聴いた人がハッピーになる」「聴いた人から行動(決断)を引き出す」に加えてもう一つ、

 

「聴いた内容を他人に言いふらしたくなる」

 

ということを挙げています。

 

この「人に言いふらしたくなる」という状態は「今日は良い話を聴いたな」で完結していません。その後で、連鎖して広がっていく。そんな「感染力」を備えた話、ということになります。

 

例えば、Twitterで何百件も何千件もリツイートされるような話がそれにあたるかもしれません。Facebookでたくさん「いいね!」がついたりシェアされるような投稿もそれにあたるでしょう。

 

そのような「人を動かす力を持つ」プレゼンの「核」を用意することを著者は主張されています。この「核」には「心に残る印象的なフレーズやセンテンスに落とし込む」ということを意識されているそうです。

 

これは例えると、話を聞いてくれた聴衆に「今日のお土産」としてこれだけは持って帰って欲しい、というメッセージですね。

 

「お土産」は、おいしいものや貴重なものだと、あげた人にも喜ばれます。

 

「どこどこという場所に行って、名物の〇〇を食べたら、美味しかったから買ってきたんだ。ちょっと食べてみてよ!」

 

と言って、お土産を渡す。

 

これと同じ状況を私たちのプレゼンで引き起こすのです。

 

「どこどこの△△さんの話を聴いたら、とても面白くて参考になった。△△さんは、〇〇と言ってたよ」

 

と私たちの話を聞いてくれた人が他の人に伝えてくれる。

 

この〇〇の部分がお土産に相当する部分、プレゼンの核となるフレーズやセンテンスですね。

 

 

 

この本ではプレゼンテーションについて述べられていますが、もっとありふれた日常会話、さらにはブログやSNSなども含めた「全ての情報発信」において、「聴いてくれる人(読んでくれる人)がハッピーになる」ことまで考えて行動していきたいですね。

 

 

このブログも、読んでくれた人がハッピーになって、行動や決断のきっかけとなって、読んだ内容を誰かに話したくなるような、そんな「幸せのインフルエンザ」の感染の連鎖を起こせるようなところを目指していければと思います。

 

 

4. まとめ

 

・ プレゼンの3つのゴール

  1. 聴いた人がハッピーになる

  2. 聴いた人から行動(決断)を引き出す

  3. 聴いた内容を他人に言いふらしたくなる

 

 

・相手にとって「どんなハッピーな未来が訪れるのか」を考え、

 伝えて、行動を促すことはプレゼンに限らない良い人間関係の秘訣

 

 

・「幸せのインフルエンザ」感染の連鎖を引き起こすために、

 「相手の幸せ」について考えてみよう

 

 

〈今日の読書を行動に変えるための
 個人的チャレンジシート〉
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1.この本を読んだ目的、ねらい

 

・人を動かすプレゼンのコツについて学ぶ


2. 読んでよかったこと、感じたこと

 

・プレゼンの3つのゴールは非常に参考になり、

 普段から意識しておきたいと感じた

 

・情報発信全てにおいて成り立つ考え方を

 学べた

 


3. この本を読んで、自分は今から何をするか

 

・相手からどんな行動を引き出したいのか、

 相手にとって「どんなハッピーな未来が訪れるのか」、

 どうしたらプレゼンの本質を伝播・伝染させることができるか、

 を考えて情報発信を行っていく

 


4. 3か月後には何をするか、どうなっていたいか

 

・相手のハッピーな未来を即座に言語化することができる

 

・今よりも「幸せの感染力」が強い情報発信が

 行えるようになっている

 

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