目標達成のために準備しておくことは? 『やり抜く力 GRIT(グリット) ――人生のあらゆる成功を決める 「究極の能力」を身につける』 アンジェラ・ダックワース 著
やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
- 作者: アンジェラ・ダックワース,神崎朗子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/09/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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だが、エリクソンの研究によるもっとも重要な洞察は、エキスパートたちの練習時間が並外れて多いことではない。いちばん重要なことは、エキスパートたちの練習のしかたが、他とは一線を画するという点だ。
ふつうの人びととちがって、エキスパートたちは、ただ何千時間もの練習を積み重ねているだけではなく、エリクソンのいう「意図的な練習」(deliberate practice)を行っている。
これがエキスパートたちの練習法だ。
1. ある一点に的を絞って、ストレッチ目標〔高めの目標〕を設定する。
このときエキスパートたちは、すでに得意なところをさらに伸ばすのではなく、具体的な弱点の克服に努める。あえて自分がまだ達成していない困難な目標を選ぶのだ。
2. しっかりと集中して、努力を惜しまずに、ストレッチ目標の達成を目指す。
面白いことに、多くのエキスパートはひとの見ていないところで努力する。
ひとりで練習する時間が多い人ほど、スキルの上達が早いことがわかっている。
さらにエキスパートたちは、自分のパフォーマンスが終わるとすぐ、熱心にフィードバックを求める。この段階では、どうしても否定的なフィードバックが多くなる。つまりエキスパートたちは、うまくできた部分よりも、うまくできなかった部分を知って克服したいのだ。速やかにフィードバックを求めること、そして否定的なフィードバックにしっかりと対処することは、どちらもきわめて重要だ。
3. 改善すべき点がわかったあとは、うまくできるまで何度でも繰り返し練習する。
以前はできなかったことが、すんなりと完璧にできるようになるまで。できないと思っていたことが、考えなくてもできるようになるまで。
では……そのあとは? ストレッチ目標を達成したあとは、どうするのだろう?
エキスパートたちは新たなストレッチ目標を設定し、弱点の克服に努める。小さな弱点の克服をこつこつと積み重ねていくことが、驚異的な熟練の境地に至る道なのだ。
「意図的な練習」の基本的な要件は、どれも特別なものではない。
・明確に定義されたストレッチ目標
・完全な集中と努力
・すみやかで有益なフィードバック
・たゆまぬ反省と改良
「意図的な練習」を行うために、自分にとってもっとも快適な時間と場所を見つけることだ。いったん決めたら、毎日、同じ時間に同じ場所で「意図的な練習」を行う。
なぜなら大変なことをするには「ルーティーン」にまさる手段はないからだ。
毎日同じ時間に同じ場所で練習するのを習慣にすれば、重たい腰を上げなくても、しぜんと練習に取りかかることができる。
〈今日のコンテンツ〉
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1. この本はどんな本か?
2. 意図的な練習
3. 意図的な環境
4. まとめ
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1. この本はどんな本か?
分野を問わず、大きな成功を収めた人達に共通している性質であるGRIT(やり抜く力)について書かれた本です。
「やり抜く力」を持つ人は、第一に「並外れた努力家」であり、第二に自分が何を求めているか、その決意も方向性も定まっていた、ということを詳細な研究に基づいて明らかにしています。
そして、私たちが、「やり抜く力」を構成する二つの要素である「情熱」と「粘り強さ」を伸ばすにはどうすれば良いかについても述べられています。
自分自身の「やり抜く力」を伸ばしたい場合と、子供や部下など周囲の人の「やり抜く力」を伸ばしたい場合のそれぞれについて、具体的な取り組みが書かれているので、個人や組織としての成長と成功を目指す多くの方にとって役に立つでしょう。
今回は、自分自身の「やり抜く力」を伸ばしたい場合、「成功する練習の法則」について書かれた章から引用しました。
2. 意図的な練習
著者の研究結果によると、練習する時間の長さよりも「どんな練習をしているか」の方が成果を出すためには大切だそうです。同時に、ストレッチされた高めの目標を設定することの重要性についても述べられています。
確かに、私たちが何をやる場合にしても、あらかじめ目標を明確に設定しておくことはとても大切です。
何故なら、目標を設定している場合と設定していない場合で、得られるものが全く変わってくるからです。
ごくごく身近な例で説明してみます。例えば読書、と言っても小説など娯楽のための読書はちょっと違いますが、ビジネス書などを読む場合のことを考えてみて下さい。
何故そのビジネス書を手に取ったのか、読もうと思ったのかというと、「何か私たちの抱えている課題を解決してくれる、もしくはそのヒントが得られると思ったから」だと思います。
ところが実際には、自分がその本を読む時に、その目標、「自分は何を得たくてこの本を読みたいのか」を明確にせずに読み始めてしまうことが、結構よくあるのではないでしょうか。
読み始める前にその本を読むことで得たいものを明確にしておけば、1冊の最初から終わりまで全てのページに目を通さなくとも、自分にとって必要なエッセンスを掴み取ることができるでしょう。
そのような目標を設定していれば読む時間の短縮にもなります。その分、本から学んだ自分の課題克服のための行動に充てる時間に使えます。
一方で、「その本から何を得たいのか」という目標を設定していないと、その本の中で自分にとってはあまり重要でない枝葉末節の部分まで、ダラダラと時間をかけて読むことになります。
当然、自分があまり興味や関心のない部分についてはあまり頭に入ってきませんから、いたずらに読む時間ばかり費やしてしまいます。また、そのような箇所を読んでいるうちに、自分にとって大切な部分まで頭から抜けていってしまうこともあるでしょう。
従って、今の自分にとって本当に大切な一点に的を絞って、その情報を得ることだけに集中した方が良いのです。
ちなみに私の場合は「読書をアウトプットと成果につなげる」という目標を持っています。従って、本の網羅的な要約などは行わず、自分にとって重要だったり面白かったりする一節のみを、感想や考えたこととともに記録に残しています。それがこの文章です。
ひとつ、気をつけないといけないのは、「1年で1000冊読む!」というような数値目標を設定した場合です。読んだ本の冊数だけを目標にすることは、結局、頭の中にその内容がほとんど残らない、ということにもなりかねません。
せっかくそれなりの時間をかけて読むのですから、著者と自分の考え方が一致するくらまで血肉化できないと、そして自分や社会をより良くするための行動に繋がらない読書の仕方では「もったいない」と思うのです。
むしろ、例え読む本の数がそれほど多くなくても、それらの本で学んだことを基にして、行動を起こし、渦を巻き、身の回りの人達に対して良い影響を与えられるような、そのような読書をしたいと考えています。
読書からのアウトプットの一つとして文章を書くという目標があると、本の読み方も変わってきます。どの部分が印象に残ったか、どの部分を一番人に伝えたいか、という意識で読むので漫然と眺めるように読むことがなくなるのです。
当然、記憶への定着も良いように思います。もし、その本を読むことで学んだ自分にとって大切な情報を忘れてしまっても、全てweb上に置いてあるので、探して読めばすぐに記憶をリフレッシュすることができるのです。
引用文中に書かれているように一つの弱点を克服するためには、うまくできるようになるまで、無数の打ち手を打つ、たくさんの「行動」を行う、ということが大切だと思います。
そしてもう一つ意識しておくこととして、一つの「行動」に多くの「目標」、「意味付け」を持たせておく、ということがあります。
例えば読書した内容についてブログに書くことは、
・インプットしたことを記憶に定着させる
・自分の思考の過程を蓄積して、いつでも読み返せるようにする備忘録
・ 自分の考えを言語化して人に伝える練習
・面白い本についての情報発信
・アフィリエイト収入を得る手段
・本の著者の考え方に、自分の考え方を近づけられるよう
修正して成果につながる行動を加速する
・無形資産を積み重ねる
などの意味付けができると思います。
このような「意図」を持ちつつブログを書くのと、なんとなく「あぁ、面白かった!」と書くのとでは、後々に繋がるものが全く変わってくるでしょう。
どんなことでも、 やはり「意図」、「目標」を設定してから練習することが上達の近道なのだと思います。
あとは引用文中にある通り、自分の弱点に対する「真摯なフィードバック」をもらえる環境があったり、コーチやメンターとなってくれる人がいればいいですね。
そうするとチェック機能が働くので、自分の誤りを軌道修正しやすくなります。ここを用意できれば「やり抜く力」を鍛えるための「意図的な練習」のPDCAを回すことができます。
3. 意図的な環境
「環境」についてもう少し考えておきましょう。一つは上で述べたような「フィードバック」を貰える環境です。
私たちは基本的に怠惰な生き物です。いかなる時でも、自分の意思を完全にコントロールして、やるべきことに向かわせることができる、という人はごく少数だと思います。
だからこそ、自分の行動とその結果に対して安心して話すことができて、それに対して忌憚のないアドバイスやフィードバックをもらえるような環境を「意図的に」用意しておくことが求められます。
そのような「場」があれば、あるいはそのような「人」がいれば、自分が今以上に怠惰になるのを防ぐ「予防線」になってくれるからです。
これを用意せず、何もかも一人でやろうとするのは難しいです。「意図的に」用意しておいた方が良いでしょう。
私自身も、自分の行動を目標に向かわせるための「場」に所属していたり、信頼できるメンターに相談したり、ということを行っています。
自分に対する「監視機能」を働かせるための環境ということができるでしょう。
「お目付け役」を用意しておく、ということもできます。
もう一つ用意しておいた方がよいと思う環境は、「行動が捗る環境」です。その場所にいると自分の気持ちが引き締まり、高い集中力を発揮して、目標達成のための行動に邁進できる、そんな環境です。
例えば、私の場合は自宅では集中力があまり維持できません。ついだらけてしまいます。従って、ブログを書く場合や勉強したい場合などはカフェに行くことが多いです。
他の人がいる環境の方が、自分を追い込むことができるのです。
これは自分の「行動を加速する」ための環境ということができます。
仕事や勉強が捗る、「うまくいくパターン」というのはどなたでもあると思います。
それをできるだけたくさん見つけてストックしておいて、臨機応変に使い回せるようにしておくのが望ましいでしょう。
明確な目標を設定して、「行動を加速する環境」と「行動を監視してフィードバックをもらえる環境」を用意する。
それは、これまでゆっくりと一段ずつ「階段」を上って目標まで向かおうとしていた私たちが、「エスカレーター」や「エレベーター」を手に入れたようなものです。
そのためにも、PDCAの「Do」と「Check」の工程には「他者の力を借りる」ことを考えてみて下さい。
4. まとめ
・目標を設定している場合と設定していない場合では
得られるものが全く変わってくる
・一つの行動に対して複数の目標を設定することは成長を加速する
・目標を達成するためには「行動を加速する環境」と「行動を監視して
フィードバックをもらえる環境」も用意しておく
〈今日の読書を行動に変えるための
個人的チャレンジシート〉
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1.この本を読んだ目的、ねらい
・やり抜く力を身につけるための方法について学ぶ
2. 読んでよかったこと、感じたこと
・成功するための練習方法について理解と整理ができた
・成功するための環境は常に整えておく必要があると感じた
3. この本を読んで、自分は今から何をするか
・可処分時間を目標達成のための行動(アウトプット)に
全力投入するための環境を整える
・フィードバックをもらえる環境を徹底活用する
4. 3か月後には何をするか、どうなっていたいか
・やり抜く力が高まり、目標の一つを達成している
・成功する練習の法則に則った練習を続けて
興味のある分野における上達スピードが
速くなっている
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やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
- 作者: アンジェラ・ダックワース,神崎朗子
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