VRが現実と変わらなくなる時代に必要となる力とは? 『人工知能時代を生き抜く子どもの育て方』神野元基 著
今日の読書日記は『人工知能時代を生き抜く子どもの育て方』から、VR引きこもりについて。
未来予測⑧
誰にも迷惑をかけずにVRの世界に引きこもれる
最低限の生活が保障され、やるべきことがなくなり、しかも、寿命が延びる。
そうなってくると非常に可能性が高いのが、CHAPTER1の冒頭で書いたVR引きこもりの増加です。
人間は基本的に暇な時間に耐えられません。そのため、暇なときは時間を潰す方法を考えるのが当たり前です。しかしインターネットがあれば時間を潰すことにまったく苦労しません。
インターネットにはなんのハードルもありません。
しかも、インターネットの世界では、人間が備える欲がかなりのレベルで満たされるようになっています。
たとえばオンラインゲーム。
オンラインゲームとは世界中のプレイヤーがインターネットでつながり、ゲームの世界で自分のキャラクターや仲間たちと作る勢力を強く、盤石にしていくことを目指すものがほとんどです。
有名なマズローの欲求ピラミッドでいえば、まず仲間と集まることで社会的欲求が満たされます。
次に、自分のプレイで結果を出すことにより、他のプレイヤーに認められ、尊厳欲求が満たされます。
さらに、レベルが上がり、自由なプレイができるようになることで、自己実現欲求も満たされます。ゲームのなかで欲求が満たされていくのです。
異性との交際や高級車などに興味がない若者が増えているのも、社会構造が変わったという話ではなく、インターネットである程度心が満たされるからだと思うのです。
パソコンのゲームで体感する「世界」は、あくまでも画面の向こう側に映し出されるものです。それにもかかわらず人間を廃人にしてしまう危険性を秘めています。
それが二次元の画面ではなく、よりリアルに近い仮想現実で再現されるようになったらどうなるでしょう。
VRで体感する世界は「画面の向こう側」ではありません。「自分が世界の中にいる」という錯覚を起こします。
もし機会があれば、VRでホラーゲームなどをしてみてください。その恐怖は映画館のスクリーンやパソコン画面から得られるものとは比べものにならないほど大きいものです。
VRの普及によってインターネットやゲームの中毒性がさらに増すことは確実です。いまは主に視覚と聴覚による没入感だけですが、おそらく2045年にもなれば、脳に直接刺激を送れるようになっています。
さらにVRで映し出される世界は、コンピューターの進化と人工知能の活用によって、よりリアルで、より自分好みに最適化された世界になっていくことでしょう。
そこに衣食住が保証される時代がくれば、現実逃避をすることによる不都合がなくなり、心理的なハードルが極端に下がります。
〈今日のコンテンツ〉
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1. VR引きこもり
2. 現実と夢の境界を生き抜く
3. まとめ
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1. VR引きこもり
人工知能の存在が当たり前になるであろう、私たちの子どもや孫の世代が、技術に使われるのではなく、技術を使いこなす側になる。そのための子育てのあり方について書かれた本です。
著者は人間よりも遥かに生産性の高い人工知能やロボットに対抗するためには、「圧倒的能動思考」が必要だと主張されています。
「圧倒的能動思考」を持つ人とは、「他人や周囲の環境に依存することなく、自分にしかできない仕事や社会における役割を自らどんどん作り出せる人」とのことです。
これを実現するためには、
①社会や組織に身を委ねないこと
②自分で考え、行動が起こせること
③責任を持てること
の3つの条件を兼ね備える必要があるそうです。
そして、子どもたちにこのような「圧倒的能動思考」を身に付けてもらうためには、「自分はこれをしたい!」という「思い」を育むこと。加えて、実際の行動における「問題解決能力」を養う必要があると述べられています。
さらに、STEM教育の重要性についても述べられています。
STEMとは、
Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)のことですね。
ロボットやVRの動く原理や理論までは知る必要がなくても、基本的な理数系の素養は身に付けておいた方が良いでしょう。そのためには、食わず嫌いをするのではなく、とにかく色々な最新技術に自分で触れてみる。(子供たちにもどんどん触れさせておく)ということが大切になってくるのだと思います。
また、本書の後半では、人工知能時代の未来予測が10個ほど示されています。今日はその中から1つ、面白いと思った未来予測を引用しました。「VR引きこもり」です。
これは将来、起こる可能性がとても高いのではないかと個人的にも思います。
最近はすっかりゲームをやらなくなりましたが、子供のころはもちろん色々なゲームを楽しみました。ですから、オンラインゲームなどのインターネットの「中毒性」は良く分かります。
20年~10年前くらい前までならばデスクトップでもノートでも、パソコン一択でしたが、今はスマホがあります。場所を取らずに、座る必要すらなく、いつでもどこでもネットにつなげて、ゲームをしたり、動画を視聴することができます。
夢中になって、後で無為に過ごしてしまった時間のことを後悔するのです。
ひとときの息抜きや、熱狂に浸ったとして、それで現実が変わるのか、と言えば何一つ変わっていないわけです。気分転換にはなりますが、時間だけは無常に過ぎているのです。
自分や自分を取り巻く何かを変えて自己実現したい、と思うならば、そのための行動を現実世界で積み重ねていくしかありません。
そしてそれには忍耐と、努力と、継続が必要です。
もし、自分のなりたい姿、やりたいこと、欲しいものが、VR(Virtual Reality:仮想現実)の技術の発展により、仮想空間の中で、「簡単に」「現実世界と変わらない質感で」手に入るようになってしまったとしたら?
多くの人は仮想空間に入り浸って現実世界に帰ってこなくなってしまうのではないでしょうか?正直なところ、私もあまり自分自身を「現実世界に繋ぎとめておく」自信がありません。
あなたはどうですか?
2. 現実と夢の境界を生き抜く
VRの利点は「イメージが湧く」ということです。例えば、二次元の設計図面を見せられても、いまいちイメージできない家の「完成予想図」があったとします。
これもVRで実際のサイズで家の大きさや各部屋の間取り、インテリアなどを見ることができれば、「実感として」完成形のイメージを掴みやすくなるでしょう。
ですから、VRの望ましい活用法は、自分の今の「現実」を将来達成したい「理想」に近づけるために、「理想」の状態をあらかじめイメージしておくために使う、というのが良いのではないでしょうか。
それが分かれば、自分の目指すゴールに近づいていくモチベーションとなるはずです。
その時にもし、VRで描いた「理想の状態」が自分にしっくりとこないようであれば、「理想の状態」を修正してやれば良いのです。
こういう使い方であれば、VRは非常に有用であると思います。
その一方で、VRで人間の五感がどんどんリアルに再現されていくほど、「現実」に対して「VRが描き出す理想の世界」は輝きと引力を増していくことになります。
それはつまり、「現実」の方を変えようとする「意志」と、「理想の中だけで暮らす」「欲求」との「綱引き」が始まる、ということでもあります。
「現実」に踏みとどまれるか、そのまま「理想の世界」に引きずられていってしまうかの「意思決定」は私たち一人一人に任されています。
「理想の世界」で何不自由なく生きていけるなら幸せなこと、そういう考え方もできますが、そのような人間が人口の多数を占めてしまうようになると、社会はどうなるのでしょうか。衰退していくしかないかもしれません。
人工知能などの技術の発展により生産性は向上します。そして利便性が増し、私たちが新たなことを始める時間も生まれます。
その一方で、利便性が増す、ということはそのことに対する「考える力」を失う、「思考停止」に繋がる、ということも忘れてはいけないように思います。
ですから、「自分で考え、行動を起こせる力」というのは、今以上にこれから重要になってくるでしょうし、子どもたちにもしっかりと教育していく必要があるのではないでしょうか。
3. まとめ
・ 他人や周囲の環境に依存することなく、自分にしかできない仕事や社会に
おける役割を自らどんどん作り出せる「圧倒的能動思考」を子どもたちに
身に付けさせておくことがこれからは必要になる
・VRの「現実感」が増していくことで、その世界から戻ってこなくなる人が
これから増えていく
・私たちが踏みとどまるには「自分で考え、行動を起こせる力」が必要になる
〈今日の読書を行動に変えるための
個人的チャレンジシート〉
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1.この本を読んだ目的、ねらい
・人工知能が当たり前となる時代に、どのような方針で子育てをするのか、
そのためのヒントを得る
2. 読んでよかったこと、感じたこと
・未来予測が参考になった
・子どもに最新のテクノロジーを体験させておくことの重要性を学んだ
3. この本を読んで、自分は今から何をするか
・子どもにSTEM教育を行う
・自分も最新のテクノロジーに触れておく
4. 3か月後には何をするか、どうなっていたいか
・技術の有用性と危険性についての認識を今よりも深めている
・技術の危険性も認識した上で、技術を有効に活用することが
できている
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