読書尚友

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訪れる不便な未来に対してどう生きるか? 『未来の年表 人口減少社会でこれから起きること』河合雅司 著

 

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

 

 

 

今日の読書日記は『未来の年表 人口減少社会でこれから起きること』から、これからの日本の静かで、大きな変化について。

 

 

第2の処方箋は、「便利すぎる社会」からの脱却だ。「過剰サービス」を見直すことで、不要な仕事そのものを無くす。あるいは社会全体の労働時間を短くすることで、そこに必要とされる働き手を減らすのである。

 

日本の「便利さ」は先進国の中でも突出している。24時間365日、コンビニエンスストアやファストフード店が開き、元日から百貨店や大型スーパーでは初売りを行う。ネットや電話で注文すれば当日でも商品が届く。たしかにこうした利便性が、日本経済の成長を押し上げてもきた。

 

便利さが当たり前となり、サービスを提供する側も、顧客の要求にできる限り応えようとする。その結果、サービス業各社は、社員に長時間労働を求めるようになった。

 

これを可能にしたのは、技術革新とそれを使いこなす質の高い労働力である。大学進学率の上昇に伴い、サービス業や販売業の大卒者比率は高まってきた。だが、サービス業や販売業の労働者の賃金が、先進各国の中で恵まれているわけではない。

 

労働力人口が減り、働き手も高年齢化していく以上、いつまでもこうしたビジネススタイルを続けるわけにはいかない。まずは「24時間社会」の発想をやめるべきだ。

 

動きはすでに出始めている。ファミリーレストランが24時間営業店舗を減らし始めた。

 

「無料配送」の普及で取扱量が急増し、それに見合う労働者の確保が難しくなった宅配便大手のヤマト運輸は、再配達の時間帯の縮小など業務総量の抑制を図ることにした。

 

ただ、「便利すぎる社会」から脱却するには、顧客の意識を変えることこそが最も重要なポイントだ。私も含め、日本の消費者は安価できめ細やかなサービスを受け取ることにに慣れすぎてしまった。

 

だが、「便利さ」や「無料」とは、誰かの必要以上の頑張りや犠牲、我慢の上に成り立っていることに思いを馳せよう。商品コスト以上のサービスを享受すれば、必ずどこかにしわ寄せを受ける労働者がいるのである。

 

かつて日本は、正月三が日はほとんどの店舗が休み、多くの家庭では年末に食料品などを買いだめしていた。欧米と同じく深夜や日曜日には小売店は閉じているものだった。受け取り時間を細かく指定できる宅配サービスもなかった。

 

「すべてを昔の通りの不便な形に戻せ」と言っているのではない。どんな仕事にも"程度"や"頃合い"があるということだ。

 

超高齢社会を迎えて、外出が不自由な人や手助けを必要とする高齢者も増える。こうしたサービスを担う人手を確保するためにも、不要不急のサービスを見直し、「不便さ」を楽しむぐらいの社会としての余裕を持ちたい。

 

 

〈今日のコンテンツ〉

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1. 日本のこれから

2. 未来のパラダイム

3. まとめ

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1. 日本のこれから

 

この本は、産経新聞社の論説委員であり、大学教授でもある著者が、これから日本で進む少子化、高齢化、生産年齢人口の減少、そしてその結果、どのような問題が発生するのかを年表形式で分かりやすく説明したものです。

 

また、日本の人口減少は避けられない問題として、どうすれば「戦略的に縮む」、つまりコンパクトで効率的な国への作り変えができるのか、その処方箋として10個の提言を行われています。

 

例えば、一国のGDPがこれから成長、縮小するかどうかは、ごく単純にはその国の若い人口がこれから増える「人口ボーナス期」にあるか、それとも人口が減っていく「人口オーナス期」にあるかを見れば分かる、という話があります。

 

人口の増減というのは統計的にだいたいの予測ができ、大きく外れることがないため、将来の人口をベースとした未来予測は(何も手を打たなければ)的中する可能性が高いものとなります。

 

そして、本書で示されている日本の未来予測は「大変厳しい」ものだと感じました。

本書の目次から、日本の人口減少に基づく日本の厳しい未来予測をご紹介しましょう。

 

 

2016年  出生数は100万人を切った

2017年  「おばあちゃん大国」に変化

2018年  国立大学が倒産の危機へ

2019年  IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ

2020年  女性の2人に1人が50歳以上に

2021年  介護離職が大量発生する

2022年  「ひとり暮らし社会」が本格化する

2023年  企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる

2024年  3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ

2025年  ついに東京都も人口減少へ

2026年  認知症患者が700万人規模に

2027年  輸血用血液が不足する

2030年  百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える

2033年  全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる

2035年  「未婚大国」が誕生する

2039年  深刻な火葬場不足に陥る

2040年  自治体の半数が消滅の危機に

2042年  高齢者人口が約4000万人とピークに

2045年  東京都民の3人に1人が高齢者に

2050年  世界的な食糧争奪戦に巻き込まれる

2065年~ 外国人が無人の国土を占拠する

 

 

如何でしょうか?50年先の話はどうなるか分かりませんが、これから先10年くらいの話に限れば、もう「はずれようがない」のではないかと思います。

 

この話が現実になるとすると、厳しい状況に置かれているのは、私たち自身だけではありません。私たちの子どもや孫の世代は、私たち以上に厳しい状況の中で生きていくことになります。

 

既に日本の社会保障制度は限界を迎えており、今働いている「現役世代」でも将来的な老後の年金受給は望み薄です。

 

さらには、今、当然のことだと思っている公共や民間のサービスを享受することさえも、今後は難しくなっていくだろうと考えられます。

 

テクノロジーは夢のある未来を描き、実現してきました。でもこれからは夢を描ける人の数自体が減少してしまうため、夢を膨らませていくどころか、今の現実、つまり昔の夢の大きさを支える人も足りなくなる方向へと向かっているのです。

 

 

2. 未来のパラダイム

 

根本として少子化問題の解決は重要ですが、それには何十年先を見据えた中長期的な対策の実行が必要です。一朝一夕にどうにかなる話ではありません。

 

これまでの何十年かの人生を通して、私たちが経験してきたのは「時間が経つほど、世の中はどんどん便利になっていくという感覚」でした。それは、今まで外れることがありませんでした。私が子どもの頃には考えられなかったくらい、生活は便利になりました。

 

しかし、これからもずっとその流れは変わることがない、とは言い切れなくなりそうです。

 

例えば、橋やトンネル、水道といったインフラの老朽化が進みますが、人口が少なくなると、税金からそれを補修するための費用も賄えなくなります。費用だけでなく、工事ができる人手も足りなくなってくるでしょう。

 

今回引用した部分にあるような、24時間営業のコンビニやファミレスというのも、減少してくるかもしれません。

 

私たちは今よりも不便になった10年後、20年後の日本で、「昔は便利でよかったなぁ」と今を懐かしむのでしょうか。

 

幼い頃、両親や祖父母に「昔はもっと不便だった」と聞かされてきたのと逆の話を、自分の子どもや孫に伝えていくことになるのでしょうか。

 

このままだとそうなります。

 

日本の人口の減少に対して、社会を支える人の割合を維持するための対策として、移民、高齢者や女性、人工知能ロボットの活用などが議論されています。

 

それらは一時的に社会システムを維持する対処療法にはなっても、日本の人口が減ることに対する根本の解決策にはなりません。

 

ただ、先に述べた通り、産まれる子どもの数を増やすには、対策の効果を検証できるまで時間がかかります。

 

その間にも人口は減り続けるので、出生率を高める対策と合わせて、「その場しのぎのカンフル剤」としてであっても、労働者の数を維持するための施策も「同時に」実行していかないといけないということです。

 

人口の減少は「自然現象」であって、別に解決すべき「社会課題」ではない。出生率の上昇は日本国が国民から税金を取るために煽っていること。従ってその話に乗って行動を起こすことは国に与することになる。それで本当にいいのか?という考え方もあるみたいです。

 

考え方は人それぞれですのでそれ自体は否定はしません。

 

ただ、そういう選択をしたとしても、私たちが今抱いている「価値観」、「パラダイム」は遅かれ早かれ「通用しなくなる」でしょう。

 

そのような未来が差し迫っているのです。じゃあ、ある日突然、自分が鍋の中の「ゆでガエル」であることに気づいて慌てるよりも、今のうちから鍋の温度が上がらないようにする、もしくは温度を下げる。

 

そういうことを考えておいた方が良いのではないかと思います。

 

あなたは、あなたの今の仕事や活動を通して、日本の人口減少に対して何ができそうですか?

 

この本はできれば多くの方に一度は目を通しておいて頂ければと思います。

 

 

3. まとめ

 

・日本はこれから人口が減少していくため、今の「当たり前」を

 維持することさえ、今後は難しくなっていく

 

・人口を増加させるための中長期的な対策に加えて

    労働力を維持するための取り組みも同時に

    求められている

 

・ 自分が自分の仕事や活動を通して日本社会に

    対してどのような貢献ができるのかを考え、

    行動に移していくことが必要

 

 

〈今日の読書を行動に変えるための
 個人的チャレンジシート〉
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1.この本を読んだ目的、ねらい

 

・日本の将来像についてのイメージを

    よりはっきりとさせる


2. 読んでよかったこと、感じたこと

 

・現状と未来の姿が胸に迫って感じられるように

   なった

 

・自分のあり方を再考するきっかけを得た


3. この本を読んで、自分は今から何をするか

 

・自分が日本の少子化、生産年齢人口の減少に対して、どのように取り組むかを考える

 

・様々な業界、業者の人とのネットワークを築く


4. 3か月後には何をするか、どうなっていたいか

 

・自分に貢献できることをひとつ、見つけている

 

・仲間の輪が広がっている

 

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未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

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