読書尚友

先人の叡智を自分の行動に落とし込んで、成長と成果に変えていくブログ。焼きたてのトーストにバターを塗るように、日々の学びを薄く薄く伸ばして染み込ませてゆく

粘り強さを身につけるためには?『GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代』アダム・グラント 著

 

GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)

GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)

 

 

 

今日の読書日記は『GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代』から、努力と粘り強さについて。

 

 

一九八五年、スケンダーの生徒のマリー・アルクーリは公認会計士試験を受けた。全国共通テストに慣れていなかったので、最初の試験は不合格だった。

 

数日後、スケンダーから手紙が届いた。彼は受験した生徒一人ひとりに手紙を書き、合格した生徒にはお祝いを述べ、そうでなかった生徒には激励の言葉を送った。マリーはこの手紙を三十年近く経ったいまも大切に保管している。

 

 

ご主人、ご家族、お友だちがあなたを愛しているのは、試験の合否に関係なく、あなたが素晴らしい女性だからです。そのことを忘れないでください。次の十一月の試験に集中しましょう。修練あるのみです。全力を尽くしてください。マリー、きっと合格できますよ。私ならテストにこう書きます。「この試験に備えたことで、すでに一番の目的は達成された」と。人間は成功で決まるのではありません。努力で決まるのです。

 

彼は、自分の可能性を信じ、きっと合格できるという自信をもつよう励ました。

 

彼女は再び受験して、二つの科目で合格し、残すところあと二科目となった。そのあいだずっと、スケンダーは彼女を励まし続けていた。

 

「わたしをサボらせたくなかったんでしょう。よく電話をくれて、進み具合をチェックされました」

 

マリーは最後の科目に合格し、試験を受けはじめて二年後、公認会計士資格を取得した。

 

 

リーダーや指導者の立場にあると、まず相手の才能を探したくなるものだが、ギバーはその誘惑に負けまいとする。そして誰でも一流になれると考え、やる気があるかどうかに着目する。

 

会計学の場合、生徒のなかに知力だけでなく、やる気や仕事に対する価値観を見出すことが、前述の大学教授スケンダーの才能を発見するコツでもある。

 

マリーを激励したときも、彼女が「いままで会った生徒のなかで一番熱心にとり組んでいたからではなく、粘り強さが際立っていたからだ」という。

 

心理学者のアンジェラ・ダックワーズは、これを「根性」――長期的な目標に向かって熱意をもって根気強くとり組むこと――と呼んでいる。ダックワーズの研究では、知力や適性以上に、根性のある人びとが、関心、集中力、やる気によって、より高い業績を達成することが分かっている。

 

もちろん天賦の才能も重要だが、一定以上の能力をもった候補者がたくさんいたら、粘り強さは、その人がどこまで可能性を発揮できるかを予測する大きな要因になる。

 

「高い期待をかけるのは、とても大事なことなのです」とスケンダーはいう。「背中を押したり、能力ギリギリまでやらせたり、本人が無理だと思うようなことをさせたりする必要があるのです。私のテストを受けるときは、こんな難しい試験は生まれてはじめてだと思わせたいのです。それで実際、成績が上がるんですよ」

 

根性を養う秘訣の一つは、目の前の仕事をより興味深く、やる気の出るものにすることだ。

 

 

〈今日のコンテンツ〉

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1. 可能性を信じること

2. 根性と粘り強さ

3. まとめ

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1. 可能性を信じること

 

この本では、私たち人間の思考と行動を「ギバー(与える人)」、「テイカ―(受け取る人)」、「マッチャ―(バランスをとる人)」という3つのタイプに分けて、説明しています。そして「ギバー」と呼ばれる人達が、どのような考えで行動して、それによりどのような形の成功を得るのかについて、たくさんの事例とともに解説されています。

 

普通、私たちの多くは、「成功するのが先で、人に与えるのはそれから」と考えてしまいますが、「ギバー」と呼ばれる人達はその逆に、「先に与える」のだそうです。

 

もちろん自分自身が「テイカ―」や「マッチャー」でも成功することはできるようですが、「最も成功することができるのは、これら3者の中で、「ギバー」であり、しかも「ギバー」が成功するときには、その成功が「周りにも波及していく」といいます。

 

そして成功する「ギバー」は、「自己犠牲」ではなく、「他者志向性」を持つ、とも述べられています。他者志向性とは、チームで仕事をする時に、自分の取り分を心配するのではなく、みんなの幸せのために高い成果を出すことに目的を設定する性質を表しています。

 

本書では、そんな成功している「ギバー」の性質を分析して4つの特徴が抽出されています。これ以上の詳細は本書に譲りますが、その4つの特徴は以下の通りです。

 

・「人脈づくり」……新しく知り合った人々と関係を培い、以前から付き合いのある 

 人々との結びつきを強めることができる

 

・「協力」……同僚と協力して業績をあげ、彼らの尊敬を得られる働き方をしている

 

 ・「人に対する評価」……才能を見極めてそれを伸ばし、最高の結果を引き出すため 

  の実用的なテクニックを持つ

 

・「影響力」……相手に自分のアイデアや関心ごとを支持してもらえるような

  プレゼンテーション、販売、説得、交渉をするための方法を知っている

 

 

これらの性質を少しずつでも身につけて、私自身も「自分だけでなく周りの人も幸せにできる」ギバーを目指していきたいと思いました。

 

 

さて、今回は「人に対する評価」のところから引用しています。

 

企業や組織では、普通、成長の可能性の高い人材を見つけて選抜し、その人材に対していわゆる「エリート教育」を施して、将来のリーダーを育てていく、ということが多い です。

 

例えばアメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック)のリーダー育成のための教育制度などは非常に有名です。

 

ですが、面白いことに、「ギバー」が人を育てる場合は、「才能を見つける」ことから始めないそうです。

 

ここで述べられている事例によると、教師が生徒の可能性を信じると「自己成就予言」(他人から期待されると、それに沿った行動をとって期待通りの結果を実現すること)が働くそうです。

 

従って、「その人の可能性を心から信じ、支援の手を差し伸べ、可能性を信じていることを常日頃から伝えていれば、やる気が出ていっそう努力するようになり、その可能性を発揮できるようになる」とのことです。

 

つまり、人がその可能性を花開かせるには「才能は後」で、まずは教える側、導く側が「可能性を信じることが先」だということです。

 

このことは目から鱗でした。

 

ということは、全ての人、全ての生徒が、これから磨かれて、光り輝いていく「ダイヤの原石」だということです。

 

仕事でも、あるいは子育てなどでも、私たち自身の接し方を、その人の可能性を信じるように変えることができれば、周りの人を成長させることができて、幸せにすることができるということです。そしてそれはきっと私たち自身の幸せにも繋がってきます。これはとても役立てていきたい知見だと思います。

 

2. 根性と粘り強さ

 

今回、引用した文章の中で個人的に特に好きな箇所は、スケンダー教授から生徒のマリーに送られた激励の手紙の中の最後の一節です。

 

「人間は成功で決まるのではありません。努力で決まるのです」

 

この文章を読んで、「今以上に努力したい」と思いました。

 

私たちが成功できるかどうかには「運」の要素もいくらかは絡んでくるでしょう。それでも、例え状況が「劣勢」に追い込まれていたとしても、「努力」だけはやめてはいけないのだと思います。

 

何故ならそれは自信につながるからです。自分を強くして、後悔のない人生を生ききることにつながるからです。

 

そして努力を続けられることが「根性」であり「粘り強さ」です。引用文中にあるとおり、これらがある人は「より高い業績」を達成できる、という科学的な研究結果による裏付けもあるようです。

 

私たちの毎日は朝起きた時から、夜眠るときまで、無数の意思決定の連続です。今日はどの服を着ていこうか。今日はどの仕事から取り組もうか。お昼ご飯は何を食べようか。などなど、色々な判断を行っています。

 

その中で、「これをやっておいた方がいい」ということについて、「やる」「やらない」で考えた結果、一体どれくらい「やる」の方を選択することができているでしょうか。

 

例えば早朝のジョギングなど「健康に関すること」や、あるいは資格試験の勉強など、「自分の成長に関すること」です。

 

つい、楽な方に流されていつも「やらない」方を選択してしまっていませんか?あるいは一度は「やる」を選択できたものの、翌日からは「やる」の選択を続けられないようなことになってしまっていませんか?

 

「根性」や「粘り強さ」は、「やった方がいいこと」について、「やる」を「常に選択し続ける」ことで身につくものだと思います。理想としては頭の中で「やる」「やらない」の選択肢を思い浮かべなくても、無意識レベルで「やる」を選んで行動している。そんな状態まで持っていきたいところです。

 

 

さて、私たちは、今日これから「やった方がいいこと」について、「やる」、「やらない」、どちらを選んでいきますか?

 

 

3. まとめ

・「ギバー(与える人)」は「マッチャ―(バランスをとる人)」や

 「テイカ―(受け取る人」よりも大きな成功を手にするだけでなく、

 周りの人にも成功を波及させていくことができる

 

・その人の可能性を心から信じることで「自己成就予言」により、その人の

 可能性が花開く

 

・粘り強さや根性を身につけるには、「やる」「やらない」の選択肢を

 思い浮かべて、「やる」の選択肢を選び続けること

 

 

〈今日の読書を行動に変えるための
 個人的チャレンジシート〉
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1.この本を読んだ目的、ねらい

 

・他者貢献していくために、「ギバー」になる方法を

 学ぶ 


2. 読んでよかったこと、感じたこと

 

・「ギバー」のさまざまな特徴について学ぶことができた

 

・自分の中に多数ある「テイカ―」や「マッチャ―」としての

 要素について気がつくことができた


3. この本を読んで、自分は今から何をするか

 

・ギバーになるべく行動を始める。

 まずは「5分間の親切」を実行していきたい


4. 3か月後には何をするか、どうなっていたいか

 

・人の可能性を心から信じてポジティブなフィードバックに

 徹することができている。それにより人の成長を実感し、

 自分も幸せな気持ちになっている

 

・「やる」「やらない」で「やる」を選べる確率が

 5割以上になっている

 

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